CL制覇への近道は…
後方が安定したPSGは、ボールを失った時の守備も安定するようになり、67分には敵陣でボールを奪ってカウンターを仕掛け、ムバッペの折り返しからリオネル・メッシが決めて同点に追い付く。
さらに73分には、ロングカウンターから左サイドに運び、ムバッペが仕掛けてPKを獲得。ここもメッシが冷静に決め切って、PSGが逆転に成功する。4バックから5バックに変更してサイドのスペースを消すことで、ライプツィヒがボールを奪った後の運びどころを消した。これが守備の安定に繋がり、ムバッペを先鋒とする鋭いカウンターを仕掛けられるようになった、と言えるだろう。
同様に後半のアディショナルタイムにも、引いた守備からロングカウンターを仕掛け、ハキミがPKを獲得。このチャンスをムバッペが決め切れなかったものの、いずれにせよ「ポゼッションが失われた時に何が起こるかによってこの試合は決まる」というポチェッティーノ監督の“予言”どおり。カウンターの応酬で試合は進み、PSGがライプツィヒに勝ち切って勝ち点3を手にした。
このライプツィヒ戦では「私たちはインテリジェントにボールを動かさなければならない」と話していたようには安定したポゼッションを実現できず、2つの失点場面ではカウンタープレスも機能しないなど、課題も出た。しかしPSGにとっては、下手にポゼッションにこだわるよりも、割り切って後ろを固めてムバッペとメッシのコンビを活かしてカウンターで強襲してしまった方が、CLの頂点は近いのではないか。
この試合は怪我で欠場したが、ネイマールもいることを考えると、ルイス・エンリケ時代のFCバルセロナが、現在のPSGにとっては最適なロールモデルとなり得るのかもしれない。
(文:本田千尋)
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