ゴールデンコンビ誕生
フェレンツバロシュ戦での魔法のようなゴールからは、いくつも発見があった。1つは古橋の「動き出し」を、どのエリアの味方が見てくれているのかということだ。10月の日本代表活動に合流した際、彼はセルティックでのプレーについて次のように話していた。
「パスが出てこなくても、何度も何度も動き出すというのが大事かなと思っていて、それが全部出てきたら僕としてはうれしいですし、『出てこい! 』と思っていますけど、試合はそう簡単ではなく、状況にもよると思うので。10回動いて、1回パスが出てくればいいという精神で動き出しています」
相手を押し込んで敵陣内でボールを支配している展開の中であれば、古橋の動き出しは近い距離のボールを持った味方からもよく見えているだろう。これまでもMFトム・ロジッチやMFデイヴィット・ターンブルなどからのラストパスを受けて、ゴールにつなげてきた。
しかし、古橋がゴールに向かって動き出すのは味方が近くにいるときだけではない。自陣内でセンターバックがボールを持っていて、画面に映っていないような瞬間にも、フレームの外でチャンスをうかがっている。
その絶え間ない仕掛けを、味方はどれほど見えているのか、あるいは意識しているのかというのは疑問だった。しかし、今回のフェレンツバロシュ戦のゴールによって、自陣内にいる味方もボールを持って顔を上げたら、まず古橋の動きを見ているということに確信が持てた。それはすなわち、チームメイトからエースストライカーへの信頼の証でもある。
ジョタは、前線で相手のディフェンスラインにギャップが生じたのを見逃さず、DFの背後をとった古橋の動き出しが何を意味しているのかを極めて冷静かつ正確に理解していた。