今後の見通しは…
その後は、かつて鹿島アントラーズや浦和レッズでプレーしたFWファブリシオとの交代でピッチを退く74分まで、中島が起点となるチャンスは生まれなかった。しかし、トップ下を起点にすることでポジションチェンジはスムーズになり、前半に比べていい位置でボールに触れる回数も増えたのは間違いない。
ただ、パフォーマンスの印象としては「まだまだ」。完全復調までには少し時間がかかりそうだ。
好調のポルティモネンセでは攻撃陣に若いタレントが台頭してきており、競争は激しくなっている。前線では21歳のFWウィリントン・アポンザや22歳のアングーロが主力として起用されている。中盤でも24歳のルーカス・フェルナンデスが長期離脱から復活を遂げ、今季新加入のMFカルリーニョスも存在感を発揮しているところだ。
攻守のバランスを重視するパウロ・セルジオ監督のもとで、どのように居場所を見つけていくかは難しい課題になるだろう。中島を置くのがトップ下なのか左ウィングなのか、指揮官の起用法によってチーム全体に影響が及ぶのは間違いない。リーグ戦で好調なチームを大きくいじりたくないと考えたとしても理解できる。
だからこそ、しばらくは途中出場が中心になったとしても、少ないプレー機会を最大限に活用してコンディションを100%に近づけていくことが重要になる。そのうえで、中島自身が武器であるドリブルやミドルシュートなどを、どのような形でチームに還元できるかを示さなければならない。
以前在籍した当時からは多くの選手が入れ替わっており、チームメイトたちに特徴を理解してもらうことも必要だ。8ヶ月ぶりの復帰戦は、再起に向けた第一歩。焦る気持ちもあるかもしれないが、また怪我をしては元も子もない。中島にはじっくりとかつての躍動感を取り戻してくれることを期待したい。
(文:舩木渉)
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