神童がもたらす絶大な効果
同じオランダ人のロナルド・クーマン監督に絶大な信頼を寄せられているデパイはここまで主力として働き続けてきたが、その内容は決して満足いくものではなかった。ゴールに絡むプレーが少なく、不用意なロストも多い。チームとして結果が出ない中、批判の的の一つがこの男であった。
しかし、バレンシア戦のパフォーマンスは非凡だった。ボールを失うことも少なからずあったのは事実だが、ファティと同じく2点に絡んでいる。
ファティの不在時はデパイが攻撃の中心だった。しかし、DFの集中したマークを受けることで窮屈なプレーを強いられ、必然的に下がったポジションにいることが散見。持ち味を活かし切れていなかった。
ただ、ファティがいることで攻撃の中心は彼になる。そしてファティの仕掛けがあることで、DFの注意はよりそちらに向く。当然デパイにマークが付かないわけではないが、そこに人が“集中”しなければ彼の非凡なフィジカルとキープ力は大いに活きる。それにより味方に時間とスペースを与えることができるので、チームとしての攻撃がよりスムーズにいく。
つまりデパイは単独でこじ開ける主役ではなく、よりクリエイティブな脇役に回った方が本来の持ち味を発揮しやすいということだ。そこに主役というファティが加わることで、攻撃のケミストリーが完成する。まだ1試合とはいえ、バレンシア戦ではそうした“結果”をみることができた。
今週、バルセロナはチャンピオンズリーグ(CL)のディナモ・キエフ戦、そしてレアル・マドリードとのエル・クラシコを控えている。ファティとデパイによる攻撃力が爆発するか注目だ。
(文:小澤祐作)
【了】