日本代表で活躍するには…
現地紙『HLN』は、三笘がハットトリックを決めた試合を日本代表のコーチが視察していたことを伝えていた。10月の代表ウィークを終えた後、日本代表の横内昭展コーチと下田崇GKコーチがヨーロッパに渡って選手たちの視察を行っている。彼らのどちらかがユニオンの試合を訪れ、三笘の活躍ぶりを確実に森保一監督へ報告することだろう。
「いま24歳ですけど、プレミアリーグ(のクラブ)と契約しているわけで、将来はもっともっと大きなクラブでプレーしたいという気持ちもありますし、より高いレベルでプレーしたい気持ちは常に持ってやっています。ワールドカップだったり日本代表に入って、日本を代表するサッカー選手になりたいなと思っています」
三笘は『Unionist』のインタビューの中で自分の将来像についても話していた。川崎フロンターレを離れ、プレミアリーグのブライトンと契約したのちにユニオンへ期限付き移籍している彼にとって、イングランド行きは現実的な目標となる。イギリスの労働許可証を取得する条件をクリアするためにも、日本代表入りは不可欠だ。そして、11月のアウェイ2連戦に招集されれば、攻撃陣の選手層に不安を抱えるサムライブルーを救うキーマンになれるかもしれない。
ただ、その前にユニオンで激しい競争に勝たなければならないのは明らかだ。3-5-2の布陣を採用するチームで三笘がポジションを奪うなら、2トップの一角を狙うことになるだろう。ただ、そこにはリーグ戦11試合で7得点5アシストのウンダフや、同じく8得点4アシストのヴァンゼイルという絶対的なストライカーたちが君臨している。
昇格組ながらリーグ最多得点(24得点)の攻撃力を武器に暫定首位に立ったユニオンで、最も機能しているポジションを奪い取るのは極めて難しい。しかし、ここで風穴を開けられれば、三笘のキャリアは大きく開けてくるだろう。もちろん日本代表入りが近づくのは言わずもがな。とはいえ、そのためにはコンスタントに結果を残し続けなければならない。
日本代表で10年以上にわたって活躍してきたDF吉田麻也も「東京五輪世代でこれから海外に行く選手、田中碧とか三笘とか、彼らが(A代表に)食い込んでくる時に求められるのは、移動や時差の中でのタフさ、もちろんケガをしないこと、そしてコンディションを維持し、いい状態で自分のパフォーマンスを発揮することも大事」と指摘していた。
吉田をはじめGK川島永嗣やDF長友佑都など、長年にわたって日本代表の主軸を担ってきた選手たちは環境に左右されず「コンスタントに結果を出し続けること」で自らを証明してきた。三笘がA代表の競争に割って入っていくには、ユニオンで絶対的な信頼を勝ち取ることが何よりの近道なのである。
(文:舩木渉)
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