持ち味が発揮された3点目
同点に追いついて迎えた76分、ユニオンは高い位置で激しくプレスをかけて相手からボールを奪うとショートカウンターを発動。最後はヴァンゼイルのスルーパスに相手DFの背後をとって抜け出した三笘が、GKの動きを見極めた冷静なフィニッシュで逆転ゴールを流し込んだ。
見事な逆転劇。3-2で試合終了か……と思うだろう。だが、三笘は止まらない。後半アディショナルタイム突入直前の90分、再び左サイドの韋駄天が輝いた。
左サイドでボールを奪ってカウンターに移ると、三笘がドリブルでぐんぐん前にボールを運んでいく。そしてペナルティエリア手前に差し掛かったところで一気に加速してディフェンスを置き去りにし、最後は倒れこみながらGKの逆を突くシュートでゴールネットを揺らした。
リーグ戦初ゴールから一気に3得点を奪ってハットトリックを達成。三笘の大活躍に導かれたユニオンは、ホームスタジアムを埋めた満員のサポーターの前で数的不利&2点差からの大逆転勝利を遂げた。
試合を終えてチームメイトやスタッフたちに称えられる三笘の表情は晴れやかだった。ここ最近、特に東京五輪期間中は思うようなプレーができず暗い表情だったことが多かっただけに、久しぶりに彼の弾けるような笑顔を見られたような気がする。
最近ユニオンの公式YouTubeチャンネルで公開された『Unionist』という特集動画の初回に登場した三笘は、インタビューの中でこんなことを語っていた。
「(ここまでの出番は主に)途中交代なので、そういう役割は日本でもよくやっていましたし、そこで結果を出せないと最初からスタメンでも使ってもらえないと思うので、監督の信頼を得るというところもそうですし、もっともっとアピールしないと。今のチームも好調なので、自分はまだまだだなと思っています」
ユニオンに加入してからの三笘は、出番のほとんどが途中出場になっている。先発起用されたのはカップ戦の1試合のみだ。川崎フロンターレ時代も後半途中からの出場で相手のディフェンスをズタズタに引き裂くような試合は多かったが、ベルギーに渡ってもスーパーサブの域を脱せていない。