日本代表は12日、カタールワールドカップ・アジア最終予選でオーストラリア代表と対戦し、2-1で勝利している。4-3-3へ布陣を変えた日本代表は開始わずか8分で先制点を奪った。新布陣は何をもたらし、どのようなメカニズムでオーストラリア代表を苦しめていたのだろうか。(文:西部謙司)
新たな司令塔の誕生と日本代表の第三形態
4-3-3へのシステム変更、田中碧の先発という打ち手が奏功し、オーストラリア代表の攻撃を封じて勝利を手にした。どの選手も活躍したが、この試合は田中の存在が大きい。
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先制点を叩き出しただけでなく、攻撃のオーガナイズで重要な役割を果たしていた。ボールの動かし方のイメージがあり、どこにボールを動かせば誰がフリーになるかを理解しているので、後方でのビルドアップでは常に的確な指示を出していた。センターバック周辺のパスワークが落ち着いたことで、長友佑都と酒井宏樹の両サイドバックを高い位置に押し出せている。
ボールをグリップする能力が格段に高く、相手の動きと配置を頭に入れてプレーできる。日本代表の司令塔は誰か、強烈に印象づけるプレーぶりだった。
4-3-3への変更は、森保一監督のコメントからするとオーストラリアの4-2-3-1に噛み合わせる意図だったようだが、鮮烈な田中の最終予選デビューとともに森保監督下の第三形態となった感がある。
最初はロシアワールドカップ後の大迫勇也、南野拓実、堂安律、中島翔哉のカルテットが猛威を振るった4-2-3-1。第二形態は今年3月の韓国代表との強化試合に始まる攻守に強度を増したスタイルで、鎌田大地、伊東純也が台頭した。そしてリバプール方式のミドルプレスと田中碧、守田英正、遠藤航のMFトリオの第三形態である。
今回の第三形態は司令塔・田中の誕生とともに、古橋亨梧、浅野拓磨の台頭でおそらく完成形になるのではないか。