繰り返された失敗
「カウンターに行くところとちょっと1回落ち着かせて、みんなで息を合わせてタイミングを計りながら相手を崩していくという使い分けをもっとチームとしてやっていかないといけない」
彼らが言う「攻撃時のメリハリ不足」というのは9月のオマーン戦の時にも問題視された点。それを全員で共有して挑んだ中国戦は何とか大迫が決勝弾を叩き出して勝てた。しかしながら、サウジアラビアという技術・戦術・フィジカルに優れた相手に対しては通用したとは言い切れなかった。
冨安健洋の大きなサイドチェンジに浅野が抜け出し、クロスを逆サイドの南野が頭で合わせた前半24分のビッグチャンス、あるいは鎌田大地のスルーパスに大迫が抜け出した29分の決定機など、点が取れそうなシーンが皆無というわけではなかった。
しかし、それら決めきれなかった分、後半は苦しくなった。一時は7割以上のボール支配を許し、パス成功率で劣勢を強いられ、スタジアムの雰囲気もヒートアップする中、消耗した日本代表が攻めの迫力を失うのは自明の理だった。
そうなる前に森保監督にはギアを上げられる人材を起用してほしかったが、古橋と原口はまだしも、オナイウ阿道と守田英正の投入は遅すぎた。終盤の大迫・オナイウの2トップ、古橋・大迫の最前線起用というのも時間が短すぎて、スムーズな連係・連動を期待するのは酷だった。後半ロスタイムの長友と中山雄太の交代に至っては、まるで勝っているチームの采配のように映った。つまり「点を取って勝つ」ための有効な戦略を取れていなかったと言わざるを得ないのだ。
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