【写真:Getty Images】
東京五輪でU-24日本代表の一員としてベスト4進出に貢献したMF田中碧は、大会後から新天地であるドイツ2部のフォルトゥナ・デュッセルドルフに合流。1試合の途中出場ののち、早々に主力定着を果たしている。
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しかし、田中は「納得のいく、すごいいい出来だとは全く思ってないし、今までやってきたものとの違いを自分の中でも感じています」と語る。実際、先発起用されても途中交代が多く、リーグ戦でのフル出場は1試合のみ。足をつっての交代など、Jリーグ時代にはほとんど見られなかっただろう。
「やっぱり川崎フロンターレとは間違いなく違いますし、ボールを保持する時間も僕のチームに関してはそんなに長くないので、守備する時間も長い。取ってからカウンターに出ていく回数も比較的多いので、今までやってきたゲーム体力の使い方も全然違います。
そこはもっともっと慣れていかないといけない。もちろん(欧州に)来てすぐできる選手もいるとは思いますけど、僕自身はできなかったので、ここで苦しみながらも成長していけば、もっともっとよくなるんじゃないかなと思っています」
欧州移籍にあたって、すぐに適応できる自信もあっただろう。だが、田中はコンスタントにプレー機会を得ながらも、小さくない壁にぶつかっている。そして、ドイツで感じていること全てが今後の成長へのきっかけだ。
「この1ヶ月で感じたのは、どちらかというと成長した部分より、成長しなきゃいけない部分。ペナルティエリア内に入っていくところや、クロスに対して自分が2列目から入っていくのは(フロンターレ時代には)そんなに意識していなかったことで、(デュッセルドルフでは)そういうものも要求されます。
自分が点を取るためにどうしなきゃいけないのかというと、やっぱりゴール前に入ってく回数を増やさなきゃいけないし、セカンドボールに反応して、奪って、2次攻撃をしなきゃいけない。フロンターレや代表みたいにボールをいい状況で受けられる場面もそんなにあるわけではないですし、周りもどちらかというと前へ前へというスタンスの選手が多いので、それにも合わせていかなきゃいけない力が必要なんだなというのはすごい感じています。そこが今の自分にとって課題なのかなと思っています」
2年ぶりの復帰となる日本代表で、これまでとの違いや成長をいかに表現するか。ドイツでつかんだ成長へのきっかけを、初めてチームメイトとしてプレーする選手もいるなかで、どうやってチームプレーに反映させていくか。今後も生き残っていくには自己アピールとともにチームを勝たせられる存在であることを証明する必要がある。
「プレーで示さないと何を言っても意味がないと思います。自分自身がこれだけできるというのを示しながらも、なおかつそこで自分が要求したいことがあれば、ピッチ内でどんどん言わないといけないと思います。
そのためにまず自分が、いかにピッチ上で『田中碧』を表現できるかが一番大事だと思いますし、それが信頼につながる。初めて(一緒に)やる選手も多いですし、時間はないですけど、1回1回の練習が大事になってくると思います」
東京五輪での活躍は記憶に新しく、それによって期待も高まっている。A代表に加わった田中はどんな姿でチームに貢献するのか。熾烈な競争があるボランチのポジションで、生き残りを賭けて重要な2連戦に挑む。
(取材・文:舩木渉)
【了】