【写真:Getty Images】
日本代表DF冨安健洋は今夏、セリエAのボローニャからイングランド・プレミアリーグのアーセナルへと活躍の場を移した。
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新天地では9月に入ってからデビューを飾り、リーグ戦4試合に出場。冨安が右サイドバックのポジションに定着してから3勝1分と負けがなく、開幕3連敗スタートだったアーセナルは一気に調子を取り戻している。
チームの復調と同時に、冨安に対する評価もうなぎのぼりだ。日本代表DFが入った右サイドは守備の局面でほぼ破綻することなく機能し、対戦相手のキーマンをことごとく抑え込んでいる。トッテナムに3-1で勝利したノース・ロンドン・ダービーではファンによるマン・オブ・ザ・マッチ(MOM)にも選出され、冨安は周囲からの信頼を確固たるものにしつつある。
それでも本人に慢心は一切ない。日本代表合宿に合流して4日にオンライン取材に応じた冨安は「サッカーをやっている以上、完全体というのはないですし、僕が引退する時であっても完全体ではないでしょうし、まだまだ上があるわけで。となると何かしらやることがあって、自分の価値を証明し続けないといけない。そういう意味ではまだまだ改善していく必要がある」と、いつも通りの口調で淡々と語った。
もちろんアーセナルと日本代表で、プレーに臨む姿勢を変えるつもりもない。7日のサウジアラビア代表戦と12日のオーストラリア代表戦を、冨安は「(ワールドカップ出場可否が)この2試合で決まると言っても過言ではないくらい大事な2試合」と捉え、並々ならぬ決意を胸に準備を進めている。
9月に始まったカタールワールドカップのアジア最終予選で初戦のオマーン代表戦に敗れた日本代表にとって、今回の2連戦は追いかける立場からのスタート。グループ内でも屈指の強豪との2連戦は「勝ち点3を取ることによって6ポイント分の価値がある」と、冨安は強調する。
では、勝敗を分けるキーポイントは何か。22歳のクレバーなセンターバックは「アーセナルでもよく言われていること」を挙げた。
「(守備陣が)無失点で守るというのはどの試合でも変わらないですし、(相手に)押し込まれる展開だったとしても、(ペナルティ)ボックスの中、ゴールが生まれるところでしっかり防ぐことができれば失点しない。それはアーセナルでもよく言われることなんですけど、やっぱり勝負を決めるのはボックス内だと思っていて、攻撃面も守備面もボックス内での戦いは、より意識して、集中を切らさずやりたいなと思います」
どんな展開になろうと、たとえ押し込まれ続ける試合になろうと、最終局面の「ボックス内」、つまり「ペナルティエリア内」で相手に自由を与ないこと。さらに勝つためには敵陣の「ボックス内」でいかに相手を上回るか。これこそが勝利をつかむうえで重要なポイントになる。
サッカーはゴールを決めて勝ちを目指すスポーツ。本質は実にシンプルだ。冨安の目の前の1試合にかける気持ちの強さや細部へのこだわり、勝負勘の鋭さは、世界トップクラスの選手が揃うプレミアリーグでの戦いのなかで、これまで以上に研ぎ澄まされている。
(取材・文:舩木渉)
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