多摩川クラシコで得た教訓は…
「僕はFC東京を優勝させたい。今年はリーグ優勝は厳しいけど、まだルヴァンはある。来年Jリーグ制覇する本気のチームを作る。そのために世界基準のプレーを見せるのはもちろん、精神的にも支えられるメンター的な存在になりたい」
そう言った長友にとって辛い結果になったのは間違いない。ただ、Jリーグ王者の実力を肌で感じ、いかにしてFC東京を改革していくべきかを再確認できたのは収穫と言える。
「チームのために戦う、走る、1対1で負けない、どんどんゴールに関わるというSBの基準はブレていない」と彼自身が復帰会見で話した通り、この試合ではほぼノーミスのパフォーマンスを見せていた。そういうレベルにチーム全体を引き上げないことには川崎を凌駕するのは難しい。
実際、この日のデータでは、前半のパス成功率が川崎よりも10%以上低かった。試合終了時には5%程度まで差が縮まったものの、不用意にボールを失う場面が多いのは事実。こういった弱点を1つ1つ突き詰め、細かい部分を積み上げていくことがFC東京の浮上のカギになる。世界を知る男・長友佑都はそのけん引役にならなければいけないのだ。
悔しい敗戦を受け、35歳のSBは日本代表の10月2連戦に向かうことになる。サウジアラビア、オーストラリアは難敵に他ならない。が、多摩川クラシコで得た「一瞬の隙を作らない」「ボールへの執着心」「細かい部分を突き詰める」といった教訓を生かせれば、必ず道は開けるはず。「長友塾長」には、勝利への鉄則をチーム全体に厳しく伝えていってほしいものである。
(取材・文:元川悦子)
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