メッシらを輝かせるのは…
ロングカウンターは脅威だが、シティに対して7人で守るのはリスクが大きすぎる。左右に揺さぶられ続けた3人の中盤の疲弊が進んだ。しかし、それもポチェッティーノ監督は織り込み済みで、怪我明けのヴェラッティを78分に、ゲイェを90分に下げて中盤の強度を維持した。
シュート数は6対18でシティが圧倒したが、結果的に勝利したのはPSG。3トップの打開力が凄まじいのは言わずもがなだが、それを支える中盤のパフォーマンスが素晴らしかった。
左のゲイェはチーム最多となる5度のタックルを記録し、攻撃の起点となった。メッシのいる右サイドではエレーラが的確にポジションを埋めている。右サイドバックのハキミが4度のタックルを記録しているが、これもエレーラのサポートがあってこそのものだった。
さらに、中央ではヴェラッティが傑出したパフォーマンスを見せた。最も相手のプレッシングを受ける中央の位置にいながら、チームトップの93.3%のパス成功率をマーク。5回のドリブル数もトップで、ボールの中継地点になっていた。ヴェラッティのようにボールを繋ぐ存在がいなければ、PSGがカウンターからチャンスを生み出す回数は確実に減っていただろう。事実、2点目もヴェラッティが起点になっていた。
幸いにも、PSGの中盤には働き者が多い。この日の3人に加え、途中出場のジョルジニオ・ワイナルドゥムもチームプレーに徹することができる。前線の3人の連係に話題はいきがちだが、メッシを輝かせるのに必要なのはヴェラッティをはじめとする中盤のクオリティなのかもしれない。
(文:加藤健一)
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