大宮の現在地。J1復帰への道のりは…
夏の移籍市場でも正反対の方向へと向かい、42歳の南雄太と29歳の河田篤秀を迎え入れることで、すでに経験に満ちあふれていたメンバーにさらなる経験を加えた。長期的にどのような展望を抱いているのか見て取るのは難しい。
岩瀬前監督の正式な後任として6月半ばに迎えられた霜田正浩監督の手元には、黒川淳史や、有望な素材である柴山昌也、才能には恵まれるが怪我の多い奥抜侃志など、攻撃陣に高い能力を備えた個人が揃っている。だが彼らも前線でコンスタントに輝きを放つことはなかなかできず、一方で守備陣は毎回のように一つや二つミスを犯してしまうような印象がある。
相模原戦で馬渡が決めた見事な一撃のように、質の高いプレーを生み出すことができる選手たちが何人かいるのは確かであり、今季の大宮には降格圏付近から脱出できるだけの力が備わっているはずだ。だがほんの数年前に到達していた高みを思い起こせば、クラブの目標はそれよりもはるかに高いところへ置かれるべきだろう。
さしあたって今のところは、目の前の試合にひとつひとつ取り組む姿勢を取っているようだ。相模原との試合後には南も、パフォーマンスの質を気にする以上に、必要とあればどんな手段を用いてでも勝利を手にすることに集中していると話していた。だがそのやり方がいつまでも変わらず、明確なプレースタイルを確立できないようでは、再びJ1へ復帰する道のりは非常に長いものとなるだろう。
(取材・文:ショーン・キャロル)
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