やりたい放題だった90分間
まず1つ目の要因は攻から守への切り替えの素早さだ。この日のバルセロナはピッチに立つ全員がその意識を高く保っており、強度も十分なものだった。
26分の場面では、敵陣深くでボールを失うと、すぐにセルヒオ・ブスケッツが反応し、相手の背後から即時奪回を成功。そこから左サイドに展開し、セルジーニョ・デストのクロスからガビのチャンスに繋がっている。レバンテに考える隙を常に与えていなかった。
アウェイチームはそうしたバルセロナの姿勢に悪戦苦闘し、ボールを保持しても前線に大きく蹴り込むのがやっと、という場面が散見。もちろん良い攻撃に繋がるシーンは限りなく少なく、チームはファーストシュートを放つまで、実に82分もの時間を費やすことになっている。
そのレバンテは守備の形も曖昧だった。これが、バルセロナが圧倒できた2つ目の理由だ。
レバンテは序盤、4-4-2の守備陣形を組んだが、ハイプレスを行うわけでもなく、自陣深くに引くわけでもないという、なんとも中途半端な対応に。バルセロナは中盤底ブスケッツを最終ラインに落とすことで相手の2トップに対し数的優位を作り、かなり楽にビルドアップを進めることができていた。
途中からレバンテは守備時4-1-4-1のような形へとチェンジしたが、その中身は大きく変わらない。中盤に人数が増えただけで、中途半端だった。
それを見たバルセロナ側は攻撃時、ブスケッツを最終ラインに落とすことを止め、相手の中盤に対し数的不利にならぬよう、本来のダブルボランチを形成することでバランスを取っている。レバンテのワントップに対してはジェラール・ピケとエリック・ガルシアのセンターバック2枚でボールを動かせるので、妥当な選択だった。
先述した通りレバンテはハイプレスにも来なければ、最終ラインもそこまで深い位置に設定していない。そのためバルセロナはショートパスで崩すだけでなく、裏のスペースも積極的に突くことができていた。DF陣にプレッシャーがかからず、背後のエリアも的確に埋められていないので当然のことだ。
90分通して、レバンテは緩々だった。バルセロナはまさに、やりたい放題だったのだ。