「僕らが日本に帰ってきた意味というのは…」
古橋亨梧と藤本憲明を擁した今季前半を振り返ると、もっと裏に飛び出すシーンが多かった。特に古橋は矢のようにゴールへ突き進み、シーズン半分で15得点を固め取りした。それは背後への抜け出しという彼の最大の武器が前面に出たから。チーム全体が彼に数多くのラストパスを供給する意識を持って取り組んでいた。
大迫と武藤は古橋とはタイプが異なるものの、スピードと献身性ある武藤ならば、古橋のような動きも出せるはず。三浦監督も「チームコンセプトの中で背後を取っていく形を出したい」という理由で背番号11を右サイドで起用している。ならば、武藤はグイグイと敵陣に突き進むような推進力と躍動感を見せられる。そういう姿勢が結実し、ゴール量産が叶えば、2019年アジアカップ以来の日本代表復帰も見えてくるのではないか。
「この先も本当に勝ち続けるしかない。僕らが日本に帰ってきた意味というのは、ヴィッセル神戸を常勝軍団にするためでもある。とにかく結果にこだわって、勝ちきれるチームにしないといけないのかなと思います」
神戸は果たして武藤の言う「常勝軍団」になれるのか……。29試合終了時点で勝ち点54の3位と好位置につけてはいるが、名古屋グランパス、サガン鳥栖、浦和レッズらとの3位争いはまだまだ息が抜けない。熾烈な争いを制するためにも、背番号11はもう一段階ギアを上げなければいけない。「勝利請負人」になることが強く求められる。
(取材・文:元川悦子)