大迫勇也との「コンビネーションはもっともっとよくなる」
初瀬は大崎に戻して内側に切りこむ。リターンを受け、左に開いてフリーになっている大迫を見逃さず、パスを出した。この瞬間、武藤はヴァウドと井林章の間がポッカリ空いたのを見逃さず、ゴール前へ侵入。ここに大迫から絶妙のクロスが入り、背番号11は豪快なダイビングヘッドを叩きつける。井林に当たってコースが変わったボールには日本代表守護神・権田修一も反応しきれなかった。
FC東京時代の2015年以来のJ1ゴールに、武藤も喜びを隠せなかった。
「大迫選手は収めてくれますし、彼のところにマークが集中するので、自分がフリーになることも多いですし、彼とのコンビネーションはもっともっとよくなる。今日は彼からしっかり素晴らしいアシストが来たので、次はお返ししなくちゃいけないかなと思います」と本人も満面の笑みをのぞかせた。
8月22日の神戸移籍会見の際、「ゴールマシンになる」と宣言してから1カ月。得点を渇望してきた男はようやく目に見える結果を出した。FC東京時代には将来を嘱望され、2015年夏に赴いたマインツ時代も岡崎慎司の後継者として幸先のいいスタートを切りながら、大ケガを機に長い長い苦悩の時を強いられてきた。その後、赴いたニューカッスルでは出番を得られず、レンタル移籍したエイバルでも残留に導くことはできなかった。
「6年間、海外のトップリーグでプレーしましたけど、難しかったこと、辛かったことの方が多かったですね……。ドイツの3年間は大きなケガもしましたし、イングランドでは思うようなプレーができず、かつ出場機会も得られなかった。スペインでは内容面でも6年間で一番いいプレーができたけど、数字がついてこなかった。サッカーに『たられば』はありませんし、それが自分の実力」と本人も自戒を込めて話したが、挫折を糧に這い上がるしか未来はないのだ。