久保建英に「結果」のチャンスはあった
そんなマドリー戦において、日本代表MF久保建英は右サイドハーフとしてスタメンに名を連ねた。この日のマジョルカはここまでベンチスタートが基本だったラゴ・ジュニオールやアレイクス・フェバス、イ・ガンイン、マシュー・ホッペがスタートの11人に入るなど大胆にターンオーバーしていたが、その中で主力の一人である久保が起用されたというのは、指揮官の信頼の表れと言っていいだろう。
しかし、結果的に久保は不完全燃焼に終わった。プレータイムは今季ラ・リーガにおいてスタメン入りした試合で最も短い45分間に留まったのだ。
前半のみで交代となった理由は簡単だ。久保がプレー中に膝に違和感を抱えたためベンチへ下げたと、試合後にルイス・ガルシア・プラサ監督は明かしている。また、主力の一人である久保に関しては怪我の有無に関係なく、早い時間で交代させるつもりだったことも同指揮官は明かしている。
45分間の出番となった久保の存在感はやはりあまり強くなかった。チームとして押し込まれる時間が続いており、マドリーは先述した通り簡単にはボールを持たせてくれない。前半終了時点のタッチ数は19回で、マルティン・ヴァリエントに次いでチーム2番目に少ない数字となっていた。
しかし、久保に「結果」を残すチャンスが無かったわけではない。5分には左サイドからのロングフィードを完璧にコントロールしてミゲル・グティエレスをかわし、ボックス内に侵入しシュート。13分にはペナルティーエリア内中央でほぼフリーの状態でシュートを放つことができた。
ただ、いずれもボールは枠外に飛んでいる。誰もが決められるような簡単なシチュエーションでなかったのは明らかだが、二つともほぼフリーの状態で打てているので、せめて枠には飛ばしたかったところ。実にもったいなかった。
久保はイ・ガンインのゴールにこそ関与したが、もちろんそれだけでは高評価に繋がらない。やはりわかりやすい数字を手に入れることが、何よりも重要である。そろそろノーゴール・ノーアシストの殻を破らなければならない。
久保は膝の痛みを訴え交代する格好となったが、前半の最後まで足を動かすことはできていたので、恐らく重症ではないと見る。次節のオサスナ戦でも出番が来る可能性は決して低くないだろう。今度こそ結果を残せるか。
(文:小澤祐作)
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