改善されない“2つの欠点“。ロナウド依存に陥らないために早急に修正すべきは…
89分にジェシー・リンガードが、昨季は同じ釜の飯を食った相手に強烈な一撃を決めて逆転に成功したが、後半のアディショナルタイム、またも右サイドを狙われ、クロスをルーク・ショーが手に当てて土壇場でPKを与えてしまう。
ここはダヴィド・デ・ヘアのビッグセーブで事なきを得たが、あわや勝ち点3を取りこぼすところだった。結果論になるが、このPKを決められていたら、「勝ちに値した」のはウェストハムだったと言わざるを得ないだろう。
こうしてディビッド・モイーズ監督指揮いるチームから勝利を掴んだものの、内容を振り返ると、薄氷を踏むような思いで掴んだ勝利だった。前述のとおり、被カウンター時のプレス、ボールを敵に保持されている時のプレスが効果的に掛からないという“2つの欠点“は、ヤング・ボーイズ戦から改善されていなかった。
もちろんスイス遠征から帰ってきてまだ数日しか経っておらず、チーム全体の守備を整備するには時間が足りなかったかもしれない。しかし、チェルシーを率いるトーマス・トゥヘル監督は、昨季の途中で就任して間もない短い時間で、その2つのプレスを含むチームとしての守備を整備し、ブルーズをCL王者にまで押し上げた。
今回の試合はウェストハム相手だったからボロが出なかったものの、これがマンチェスター・シティ、リバプール、チェルシーといったプレミアの優勝候補相手だったらどうか。
もちろん「幾つかのビッグチャンスを創り出した」ロナウドのクオリティは抜きん出ていたが、シーズンを通して考えれば、36歳のサッカー小僧のフル稼働は難しいだろう。スールシャール監督も、絶大なカリスマ性を放つポルトガル代表FWを全ての試合で起用しないことを明言している。
何より“ロナウド依存“という体質に陥らないためにも、やはり“2つの欠点“を修正し、不用意な失点は減らしていく必要があるのではないか。
(文:本田千尋)
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