数字に表れない久保建英の貢献
マジョルカは終盤に見せ場を作ったものの、ゴールを奪えず。ビジャレアルにも決定機は何度かあったが、苦戦していた感は否めない。久保を含めたマジョルカの守備に、ビジャレアルは最後まで手を焼いた。両チームともに激しいコンタクトがあり、荒れそうな試合ではあったが、カルロス・デル・グランデ主審の毅然としたレフェリングによって見ごたえのある試合となった。
久保はここまで5試合に出場している。先発が4試合あるが、得点とアシストはまだない。ただ、チームの得点数が3つであることを考えれば、久保に得点とアシストがないのが物足りないというわけではない。久保にゴールがないことを批判するのであれば、ゴールがない他の攻撃陣にも目を向ける必要がある。
データサイト『WhoScored.com』によると、久保はこの試合でパス成功率100%をマークしている。パス数自体が13回と少ないことも考慮すべきだが、その中で3回のキーパスを記録しているのも特筆すべきだ。
そして、前述の通り守備における貢献度も高い。久保がポジショニングを変えてからは、パスコースを切ることで、隣のイドリス・ババはボール奪取を連発していた。数字には表れない部分だが、こういった動きがチームを助けていた。
フル出場はここまでなかったが、この日は後半アディショナルタイムの間際までプレーしている。失点しないためにも、ゴールへの可能性を少しでも高めるためにも、この日は久保をできるだけピッチにとどめておく必要があった。替えの利かない存在であることは明らかで、高く評価されてしかるべきパフォーマンスだった。
(文:加藤健一)
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