クロップ監督は“飛車角落ち”を選択した理由
試合後のクロップ監督によれば、ファン・ダイクに関しては、コンディションに問題はなかったようだ。しかし、CB陣が野戦病院化した昨季と比べ、ジョエル・マティップもジョー・ゴメスも戦列に復帰していることを考慮して、ローテーションを行ったようだ。
もちろん事前のスカウティングで現在のミランを分析し、チーム力の差を確認していたところはあるだろう。しかし、CLの初戦である。プレミアのライバルであるマンチェスター・ユナイテッドが初戦でヤング・ボーイズに敗れた結果は知っているだろう。万全を期して、ベストメンバーでミラン戦に臨むという選択があったとしてもおかしくはない。それでもクロップ監督は“飛車角落ち”を選択した。
その“余裕”の理由として考えられるのは、上記のファン・ダイク、マティップ、ゴメスを始め怪我人が続出した昨季を経験したことが大きいのではないか。CLの出場すら危うかった地獄のようなシーズンを生き延びたことで、もともと百戦錬磨だったクロップ監督の思考は、さらにタフになったのではないか。
そういった意味では、完全アウェイのアンフィールドでリバプールに“洗礼”を受けたことで、ミランの選手たちも一層タフに生まれ変わる可能性はある。その前に決勝トーナメント進出が決まっている可能性もあるが、12月にサン・シーロで行われるリターン・マッチも、まだまだ気は抜けなさそうだ。
(文:本田千尋)
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