クロップ監督が送った指示とは…
「ここで、最終ラインが深すぎる。ここで、中盤では、我々はチャレンジして押し上げる8人の選手を必要する。それから他の2人は適応する必要がある」
おそらくクロップ監督は、失点に至った場面のどちらかを静止画で示し、最終ラインの高さを含む中盤のオーガナイズを修正したのではないか。繰り返すが、失点した場面はどちらも、ぽっかり穴が開いたように、プレスがまるでハマっていなかった。
そして、冷静な熱血漢によって修正されたリバプールは、連動して右からボックス内に入ったサラーが決めて49分に追い付く。その様子は、崩したというよりは、するすると入っていってゴールを決めた、といったところだ。
60分が過ぎる頃には、ミランの選手たちの足は止まり始め、一時は逆転したのが幻のように、力の差は歴然としていた。ロッソ・ネロは渾身の力を前半の終わりに振り絞ってしまったようだ。69分にはCKから相手がクリアしたボールを、ジョーダン・ヘンダーソンがダイレクトで突き刺して逆転。ここから、プレス→蹴る→回収される、という流れを掻い潜って逆転する力は、ミランには残っていなかった。
それにしてもなぜ、クロップ監督には“余裕”があったのだろうか。ハームタイムに怒らず冷静だったのもそうだが、このミラン戦の先発メンバーに目を向けると、サディオ・マネとフィルジル・ファン・ダイクはベンチスタートを選択。スタメンの選び方にも“余裕”が垣間見える。
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