なぜ攻撃が機能しなかったのか?
クラブ・ブルージュは4バックで守り、相手の3トップに対してマンツーマンで対応していた。メッシとネイマールはハーフスペースのライン間に降りてくることが多いが、それに対してクラブ・ブルージュのDFはポジションを捨ててついていった。
当然、DFがメッシやネイマールについていけば、クラブ・ブルージュのDFラインは枚数が足りなくなる。そして、このスペースに走りこめば一気にチャンスになる。ネイマールやジョルジニオ・ワイナルドゥムは何度かそういったランニングを見せていたのだが、なかなかボールが届かない。クラブ・ブルージュのハイプレスが機能していたのも大きかった。
60分を過ぎたあたりからメッシがトップ下、ネイマールとイカルディの2トップのような形になるが、機能したとは言い難い。ただ、左サイドバックをアブドゥ・ディアロからヌーノ・メンデスに替えたことで改善。ダニーロが最終ラインに落ちて3バックになり、メンデスは高い位置に積極的に進出した。こうすることで相手のDFラインは4枚では対応できなくなり、PSGは優位性を獲得している。右サイドのアクラフ・ハキミが突破するシーンも終盤は増えている。
しかし、結果的に2点目を決めることができなかった。前線3人が攻め残る代償として押し込まれることも多く、あわや失点というような場面もあった。
少なくともこの試合に解決のヒントはあった。守備面での負担は気になるが、出場停止が続くアンヘル・ディ・マリアが戻ってくれば、彼らの破壊力はさらに増すかもしれない。3バックにしてハキミとメンデスを高い位置に留めるのも1つの方法かもしれない。うまく守備の負担を分担しつつ、ハイプレスを取り入れる必要性もあるかもしれない。
万能な戦術はなく、対策されればそれを上回る何かをする必要がある。時間が必要という指揮官の言葉は、あらゆる選択肢を検証するための時間が必要だということを意味している。
(文:加藤健一)
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