一瞬で形勢逆転
「最初の7分か8分、我々は問題を抱えており、勇敢とはいえなかった。しかし、そこからいくつかの調整を施した」
指揮官の言葉通り、バイエルンはすぐに動いた。9分にGKマヌエル・ノイアーがボールを持ったとき、左サイドのデイヴィスとサネがタッチライン際まで開いた。当然、セルジ・ロベルトとアラウホは担当する2人を離さない。一旦、DFラインでボールを回した後にデイヴィスがボールを受けると、サネが降りてくると同時にロベルト・レバンドフスキがDFラインの裏を取る動きを見せた。
パスがずれてレバンドフスキには通らなかったものの、開始10分足らずでバルセロナの作戦の逆手を取っている。右センターバックのアラウホを開かせることで、ハーフスペースを活用する形だ。ピケとアラウホの間のスペースにレバンドフスキを走らせた。
この時点でバルセロナの守備の狙いは完全に消された。
マンツーマンが機能しなくなったことで、バイエルンは敵陣へ押し込むことができた。バルセロナは5-3のブロックを深い位置に敷くことになる。34分、トーマス・ミュラーのミドルシュートがエリック・ガルシアに当たる。コースの変化にマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンは反応できず、ボールはゴールに吸い込まれた。
バルセロナが失点してしまったというよりは、よく1失点に留めたと言った方がいいかもしれない。これは押し込まれた中でアラウホやピケがゴール前で身体を張り、テア・シュテーゲンがビッグセーブを見せたからに他ならない。アラウホはPKになりそうなシーンもあったが、全体としてみれば踏ん張っていた印象だ。
【次ページ】バルセロナの穴になっていたのは…