18歳の新鋭に託された役割とは?
前回レアルを率いた13/14シーズン、イタリア人指揮官はチームのバランスのためにメスト・エジルを放出し、ディ・マリアを残した。そしてウイングでプレーしていたこのアルゼンチン代表FWをインサイドハーフに配置することで、カリム・ベンゼマ、ガレス・ベイル、クリティアーノ・ロナウドという破壊力が剥き出しのBBCトリオを活かしながら、チーム全体の適切なバランスを実現した。
カマヴィンガの本職はウイングではない。このセルタ戦で若きフランス人MFは66分にエデン・アザールに代わって投入され、右のインサイドハーフについた。その時の中盤の構成はアンカーにカゼミーロ、左がルカ・モドリッチである。そして70分頃にモドリッチとポジションを替わり、左のインサイドハーフに入っている。かつてディ・マリアがいた場所だ。79分にモドリッチが退いてマルコ・アセンシオが投入された後も、右のインサイドにはフェデリコ・バルベルデがウイングからずれてきて、カマヴィンガは引き続き左でプレーした。
加入時に18歳のフランス人MFは「僕はDF陣の前でプレーすることが本当に好きだ」と述べつつも、同時に「僕は監督が要求するあらゆるプレースタイルとポジションに適応しなくてはならない」とコメントを残している。このコメントから推測すると、既にアンチェロッティ監督が、新生レアルのバランサーとなるべくカマヴィンガに“ディ・マリア化”を「要求」しているのかもしれない。
いずれにせよ、アンチェロッティ監督は、「ボールを持っていない時」と「ポゼッションを失った時」という守備における2つの局面を改善する上で、独自の色を出そうとしている。1つは、セルヒオ・ラモスとラファエル・ヴァランが抜けてダヴィド・アラバが加わった守備陣の再構築で、そしてもう1つは、適切なチームバランスの実現のための中盤へのカマヴィンガの導入だ。カマヴィンガの役割は、トニ・クロースが戦列に戻った時の起用法で、その性格がよりはっきりするのかもしれない。
このように、ジネディーヌ・ジダン監督が退任して新たなスタートを切った“エル・ブランコ”は、帰ってきたイタリア人指揮官の下、着々と生まれ変わりつつあるようだ。
(文:本田千尋)
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