柏レイソル浮上のキーマン
ネルシーニョ監督が語気を強めたように、柏の高い守備意識は最後の最後まで失われることはなかった。もちろん後半は運動量が落ち、FC東京に3、4回の決定機を作られた。ディエゴ・オリヴェイラのシュートが左ポストを直撃した後半13分の得点機、途中出場の田川亨介が立て続けにゴールチャンスを迎えた同28、29分のシーンなど、危ない場面は何度もあったが、守護神キム・スンギュらを中心に体を張って阻止し続けた。
最終的にシュート数では8対6と相手に上回られたものの、1-0のままタイムアップの笛が鳴った。柏はシーズンダブルを阻止すると同時に、1月のルヴァンカップ決勝のリベンジも達成。勝ち点を33まで伸ばし、J2降格圏と10ポイント差をつけることに成功した。目下、13位とまだ満足いくポジションにいるとは言えないが、前向きな方向に進んでいるのは間違いない。
殊勲の細谷はチーム浮上のキーマンの1人と言っていいだろう。この日は後半19分でベンチに下がる形になり、「後半はチームとして引いてしまったので、FWがファーストディフェンスに行けたらラインが上がる。前線からのプレスにもっとこだわってやらないといけない」と課題を感じつつ、チームメートの奮闘を見守っていたという。
それでも、試合開始時から豊富な運動量でボールを追いかけ、プレスに行く姿勢は大いに光っていた。その献身性と縦に抜け出すスピード、体を張ってタメを作る仕事など幅広いプレーができるところも印象的だった。この能力を研ぎ澄ませ、勝負どころで確実にゴールを奪えるFWになっていけば、3年後の2024年パリ五輪ではエースとして君臨できる可能性も少なくない。
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