狂い始めた歯車
この時間帯の日本代表に足りなかったのは、サイドのスペースでの強引な突破だ。敵が人数をかけてブロックを形成している以上、外で仕掛けて1枚はがさなければ、守備が崩れない。伊東と古橋の両サイドはもっと深い位置までえぐってマイナスのクロスを入れるような形を増やし、スペースを作って、そこに誰を呼びこませるような工夫が必要だった。
伊東自身もそれをイメージしていたというが、前半40分にようやく絶好のチャンスが巡ってきた。
遠藤からパスを受けた背番号14は、対面のワン・ジェンチャオを抜けると見るや、ドリブルで突進。深い位置から速いボールを折り返す。「いつもはカバーがいたんですけど、シンプルに1対1だったので、スピードに乗って縦に仕掛けてクロスというイメージで、それがうまく行きました」と本人も言う。
次の瞬間、ゴール前で右足を合わせたのは、エース・大迫。これがネットを揺らし、日本代表は待望の先制点を手に入れる。この得点は今後の最終予選を戦っていくうえで、1つのモデルになりそうだ。
前半の内容はボール支配率77%対23%。シュート数も13対1。これだけ押していて1-0でというのは物足りなさも拭えなかった。それだけに、後半はさらにギアを上げてゴールラッシュを見せたかった。
しかしながら、後半途中から中国が前がかりになったうえ、開始早々に古橋が負傷したことで少し歯車が狂い始めた。代わった入った原口元気もバランスを大事にしながらゴールに向かっていたが、タイミングよくパスが入らなかったり、シュートが外れたりと、追加点には至らない。
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