2021/22シーズンのプレミアリーグが開幕し、夏の移籍市場が終了した。この夏も各チームで様々な移籍があったが、プレミアリーグの強豪はそれぞれどんな動きを見せたのだろうか。今回は昨季圧倒的な強さでプレミアリーグを制したマンチェスター・シティの補強動向を読み解く。(文:安洋一郎)
悲願のCL優勝に向けてラストピースを獲得
【写真:Getty Images】
在籍10年間でクラブ史上最多の260ゴールを積み上げたエース、セルヒオ・アグエロが今夏、契約満了に伴い退団。昨季こそケガの影響で公式戦6ゴールに留まったが、昨季と2012/13シーズンを除けば毎シーズン公式戦20ゴール以上を決めていたストライカーが抜けた穴は大きい。
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シティはアグエロの穴を埋めるべくトッテナムのエース、ハリー・ケインの獲得に動いた。しかし、昨季のプレミアリーグで得点王とアシスト王のタイトルを同時受賞したケインを国内のクラブに売却する意思はトッテナムにはなく、シティは1億ポンド(約140億円)以上のオファーを何度か出したが、獲得を断念せざるを得なかった。
ケインの獲得こそならなかったが、アストン・ビラの大黒柱だったイングランド代表MFジャック・グリーリッシュをイングランド史上最高額の1億ポンド(約140億円)の移籍金で獲得することに成功した。データサイト『WhoScored』によると、昨季、グリーリッシュは1試合平均のチャンスクリエイト数(3.15回)を記録。チームメイトとなったケビン・デ・ブライネに次ぐ数字を残したチャンスメイカーが、アグエロの背番号「10」を継承し、既存のシティのタレントとどのように絡むのか注目だ。
今夏、アグエロの後継者となるストライカーの補強は行わなかったが、グアルディオラは毎シーズンのようにチームをアップデートしている。本来ストライカーであるガブリエウ・ジェズスの右WG起用をはじめ、サイドが主戦場のフェラン・トーレスやラヒーム・スターリングをストライカーのポジションで起用するなど、前線の組み合わせを変えることで、その穴を感じさせないチームを作り上げている。開幕からケガで出遅れているフィル・フォーデンが戻ってくれば、さらに戦い方のオプションが増えるだろう。
今夏、アグエロ以外の何人かの主力選手の退団も噂されたが、昨季限りで契約満了だったフェルナンジーニョが契約を1年間延長して残留。より多くの出場機会を求めていたベルナルド・シウバやアイメリク・ラポルトも残留したことで、多くの即戦力級の選手を補強する必要がなかった。昨季はUEFAチャンピオンズリーグ(CL)決勝で惜しくもチェルシーに敗れ、準優勝に終わったが、圧倒的な強さでプレミアリーグを制したメンバーにグリーリッシュを加えたことで、悲願のビッグイヤー獲得に向けて盤石な布陣が整った印象だ。