必要だった「別の戦い方」
吉田も「クリエイティビティが欠如していた」と苦渋の表情を浮かべたが、次の一手を繰り出すだけの機転が利かなかった。その要因は疲労やポジショニングの悪さ、距離感の遠さなどさまざまだが、本当に強いチームならどんなに劣勢でも勝ち切っているはずだ。
実際、ロシアワールドカップで日本代表が逆転負けを喫したベルギー代表も、0-2の劣勢からなりふり構わずパワープレーとカウンターを仕掛けて、強引に勝利をもぎ取った。彼らもあのような戦い方は理想とはかけ離れていたはずだ。日本代表も連動をベースとした攻撃スタイルが機能しなくなった時、別の戦い方が必要だったはず。今回の最終予選ではこれまで以上に応用力が必要だということを、我々は改めて痛感させられたのだ。
7日の次戦・中国代表戦までは中4日。短期間でガラリとチームを変えるのは難しいだろうが、いきなり崖っぷちに立たされた以上、やるしかない。
「移動があって、選手も国内組と海外組で分かれているし、正直、ほとんど話す機会がない状況だった。でも、日本から出れば多少緩和されると思うので、移動の時も含めて話していかないと。それは戦術だけじゃなくて、チーム作りとか、いろんなことを話さないといけない」と吉田は厳しい表情で語った。今、ここでしっかりと意見をぶつけ合い、コミュニケーションを取らなければ、取り返しのつかないことになりかねない。前回最終予選同様、いかにして初戦黒星を跳ね返すのか……。日本の真価が問われる。
(取材・文:元川悦子)
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