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バルセロナは機能美とは程遠い。“メッシ後”の青写真、次のステップへと進むためには…【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

“メッシ後”の青写真は…



 もちろんクーマン監督が言及したように、このヘタフェ戦での勝ち点3という結果は満足できるものだが、“美しく勝利する”という厄介なテーマを抱え込んでいるのがバルセロナである。今節でヘタフェを相手に展開したサッカーは機能美には程遠く、美しいとは言い難かった。

 クーマン監督が“脱メッシ”の後でどのような青写真を描いているのかは定かではない。それでも、かつてこのクラブでヨハン・クライフの下でプレーした選手として“美しく勝利する”というテーマを追求するとすれば、デパイはとことんゴールを量産し、メッシのような……とまでは行かなくとも、“オリジナルの絶対感”を確立する必要があるだろう。その“絶対感”が周囲の信頼を生み、高精度の連係を構築するはずである。

 そしてデパイは、開幕から3試合連続で結果を出し続けている。これが挫折を味わった者の強みなのか、その様子からは、“メッシの幻影”に苦しみ、重圧に押しつぶされるようなことはなさそうだ。むしろプレッシャーを糧にして、今後もゴールを決め続けることができれば、その結果は“オリジナルの絶対感”に繋がるだろう。

 この試合では74分に17歳のガビがデビュー。同時に19歳のニコ・ゴンザレスも途中出場。クーマン監督は積極的に若手を登用しようとしている。オランダ人指揮官は「ニコとガビによって我々はボールポゼッションが良くなった。彼らのプレーとパーソナリティに満足している」と言う。

 もちろん確実な未来など存在しないが、“メッシ後”の次代の芽が今のバルサには垣間見える。デパイだけでなく、ペドリやアンス・ファティといった若手も含めたチームとして“オリジナルの絶対感”を確立できた時――バルサは“メッシ後”のステップに進んだと言えるのかもしれない。

(文:本田千尋)

【了】

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