1人多い状況が有利とは限らない理由
今節のチェルシーを相手に1-1という結果は、リバプールの攻撃陣が昨季と比べてアップデートされていない状態と、その得点力不足を明らかにしたのだろうか。さらに言えば、後半に入ってリバプールが直面した“相手が1人少ない”という状況は、必ずしも攻める側にとって有利なシチュエーションではないのかもしれない。
チェルシー戦の後半について、クロップ監督は次のようなコメントを残している。
「私は、時々サッカーを観て『ああ11対10か、それは簡単に違いない』と考える人間ではない。私は500万の試合を観ているが、それが大きなアドバンテージではないことを知っている。特にチェルシーのような守備のスキルとボックス内とその周辺を守るために彼らに課せられたタスクにおいて質の高いチームに対してはね」
「彼ら(チェルシー)はゴール前で[5-3]を維持することを決断し、ロメル(・ルカク)だけをカウンターアタックのために残して、可能であれば残りの誰かがロメルに続いた。それが、私が『大きなアドバンテージではない』と言った理由だ。ゴールを決めようとするエリアでは、8人の選手とGKがいるので、それは簡単ではない」
たしかにクロップ監督の言うとおり、チーム全体で見れば人数は1人少なくなったとしても、守備陣だけにフォーカスすれば、守る人数は変わっていない。それどころか、トゥヘル監督が割り切って中盤をトリプルボランチに変更し、カウンターに特化した守備陣形を整えたことを踏まえれば、11人だった頃に比べてゴールの前を閉めるブロックはより強固になったと言える。この状態のチェルシーを崩せるのは、強力な個を擁してCLで上位に進出するようなチームに限られてくるかもしれない。
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