プレミアリーグレベルには程遠い5バック
冒頭にも記したが、アルテタ監督はまず守備で我慢強く戦い、カウンターで好機をうかがうという狙いを持ってシティ戦に臨んでいた。敵地での戦い、それも相手は昨季プレミアリーグ王者。この選択は決して間違っていなかったように思う。
しかし、このプランが早々に崩れたのは紛れもなく選手の責任だ。
開始7分、シティにサイドでボールを持たれたアーセナルは自陣深くに人数を揃えることはできていたが、フワッとしたクロスを簡単に決められた。アルテタ監督は直後にあきれた様子で手を叩きベンチに引き下がっていたが、これほどあっさり決められてしまうのは、あまりにお粗末と言わざるを得なかった。
そしてその5分後、今度は相手のフリーキックをソアレスがクリアミスしF・トーレスにゴールを献上。戦術どうこうではなく、それ以前の問題だった。繰り返しになるが、開始早々にこうした低パフォーマンスで2点を失っては、当初のプランがぐちゃぐちゃになるのは致し方ないことではある。
この日、アーセナルが喫した5失点中4失点はサイドからのクロスがキッカケとなっている。チェンバース、ロブ・ホールディング、セアド・コラシナツの中央はほぼボールウォッチャーになってマークの確認ができておらず、簡単にフリーにしてチャンスを与えている。ソアレスは厳しい言い方をするともはや論外で、キーラン・ティアニーは奮闘こそしていたが、やはり普段と比べると全然物足りない。データサイト『Sofa score』による5人全員が空中戦勝利数0というスタッツも気になるポイントである。
ジャカが退場していなければもっとマシになっていたのか。それも怪しい。そう思うほど、アーセナルの最終ラインは統一感がなく強度も皆無だった。いない選手のことをどう言っても仕方ないが、素行面に不安があるとしても、なぜウィリアム・サリバを残さなかったのか。ここに関しては、今のところアルテタ監督の判断は間違っていたと言うべきだろうか。
開幕3連敗。これ以上ないほど最悪のスタートを切ったアーセナルは次節、同じく3連敗スタートのノーリッジと対戦する。ここでは確実に勝ち点3を奪いたいところだが、果たして。
(文:小澤祐作)
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