2試合で無得点という事実
開幕2試合ともに複数失点を喫している守備陣はもちろん不安要素だが、攻撃陣に目を向けると、こちらは同無得点。かなり厳しい状況となっている。
チェルシー戦ではワントップにガブリエウ・マルティネッリ、左サイドハーフにブカヨ・サカ、トップ下スミス・ロウ、右サイドにペペという前線の並びだったが、怖さを発揮したのはスミス・ロウのみと言っていい。
最前線のマルティネッリはタッチ数わずか12回で、守備時5バックにある相手を前に持ち味のスピードはほぼ活きなかった。ペペはシュート数0本で、サカは屈指の守備職人セサル・アスピリクエタを前に沈黙している。
攻撃の可能性を感じさせたのはスミス・ロウの個人力とティアニーの鋭いクロスくらい。これでは点は取れない。カウンターが決まるシーンも少なく、18分の場面では速攻で敵陣に侵入したにもかかわらず、ジャカがバックパスを選択したことで観客席からは「なぜだ!」といったようなアクションが起こっていた。
新型コロナウイルスの陽性反応が出てこの試合欠場となったアレクサンドル・ラカゼットがいれば、2列目の選手の輝きはまた違ったかもしれない。ただ、彼がいなければ結局はこうなるよというのが、残念ながら現状である。これまで頼みの綱であったピエール=エメリク・オーバメヤンも今や期待感はあまり大きくない。GKアーロン・ラムズデールに大金を費やしている場合なのか…と首を傾げたくなる。
「我々は現在8~9人の選手を欠いており、限界がある」と試合後にミケル・アルテタ監督は話した。確かに離脱者が多いことは認めるが、やはり同指揮官にはまだまだそうした状況を乗り切る力がないということだ。確かにチェルシー戦は厳しかったかもしれないが、ブレントフォード戦の完敗は言い訳できない。
次節の相手はマンチェスター・シティで、ラカゼットらが復帰できるかは不透明である。上記のアルテタ監督のコメントを見る限り、3連敗は覚悟だろう。
(文:小澤祐作)
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