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久保建英 3年前

久保建英、屈辱的なシュート0本。それでも高評価を得るに相応しい、その理由とは?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

最も成長を感じたのは…



 確かにシュート0本という数字は次戦以降の反省点と言えるかもしれないが、そこを除けば久保のパフォーマンスは実に非凡だった。先述した通りボールを受ければ必ずと言っていいほど前を向き、攻撃の勢いを加速させる。この日はポジションの関係もあり個人で仕掛けるシーンはあまり目立たなかったが、シンプルに周りを活かし連係を深める意図は十分に見えた。事実、久保のパス本数は最終ラインの面々を除けばチーム最多の数となっている。

 そしてもう一つ評価できたのが、不用意なボールロストがほぼなかったことだ。トップ下というポジションはゴールに近く、さらに中央ということでマークは当然厳しくなるが、久保はうまくプレーした。寄せられる前にシンプルにパスを捌いたり、寄せられれば巧みにキープしてファウルを誘発したりと。パス本数は先ほど紹介したが、実は被ファウル数も久保が最多となっていたのである。2列目で最も相手を困らせていたのは明らかである。

 また、この日最も成長を感じさせたのは守備面の貢献度だ。

 38分には、アラベスDFフロリアン・ルジューヌのコントロールが乱れたところを全力ダッシュで突き、ファウルを誘発。抜けていればビッグチャンスだっただけにレッドカードでもおかしくなかったが、ルジューヌにはイエローカードが提示された。しかし、いずれにしても久保のプレーは見事の一言だった。

 その他の場面でも久保は守備意識の高さをのぞかせていた。よく首を振って相手の位置を確認し、ボールが渡ればスプリントでプレスに行く。これを88分間、怠ることがなかった。当たり前のことかもしれないが、ビジャレアル時代、ウナイ・エメリ監督に「タケー!」と言われ慌てて戻る、といったあの姿は、もうどこにもなかった。久保はマジョルカ公式『YouTube』で「僕は多くのリズムを掴み、90分間に渡って目一杯走ることができる。守備の仕事でもサポートできるし、選手としてはかなり良くなっている」と話していたが、少なくともアラベス戦ではそれをピッチ上で証明していたと言えるだろう。

 個の仕掛け意識の強いムブラや右SBパブロ・マッフェオら、2年前にはいなかった選手との連係はまだまだ向上させていく必要があるかもしれないが、2戦目にして先発起用されたのは指揮官の信頼の表れと言っていい。そして今回、そのチャンスを活かし好パフォーマンスを披露して勝利に貢献したことで、次戦以降も多くのプレータイムを確保できるだろう。

 あとは、どのタイミングで「結果」を残せるか。

(文:小澤祐作)

【了】

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