ビエルサはテコ入れすべきだった?
リーズがプレッシングとマンツーマンを整備し直すと、49分にルーク・エイリングの豪快なミドルで同点に追い付かれたマンUだったが、その3分後にグリーンウッドが勝ち越し弾。この場面では、コッホの問題というよりはチームとしての守備の問題で、自陣の中央でルーク・ショーから出たパスを受けたポグバに対して、プレッシャーを掛けてくるリーズの選手はいなかった。そしてラインがずるずると下がり、敵の間延びしたディフェンスに対して、グリーンウッドが左サイドから仕掛けてゴールを決めている。
続く54分にはB・フェルナンデスが3点目を決めるが、アシストしたポグバに対するコッホのマークは、やはり甘かった。その後、60分にB・フェルナンデスがハットトリックを達成し、68分にはフレッジがトドメとなる5点目を決めるが、この頃には、リーズのチームとしての守備そのものが崩壊していた。ビエルサ監督とすれば、もう少し早めに中盤の底にテコ入れをすべきだったのかもしれない。
このようにマンUの華々しい快勝の背景には、“鬼才”らしからぬ杜撰な守備があったと言えるだろう。「魔法」のような「雰囲気」を取り戻したオールド・トラフォードで個が躍動し、ビエルサ監督率いる異色のチームを打ち砕いて、“赤い悪魔”は好スタートを切った。
(文:本田千尋)
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