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アーセナルはなぜ負けたのか。キーマンの退団で露呈した弱み、補強よりも必要なことは?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images

補強よりも大事なことは…



 2人には大きな共通点がある。ジョバーは2015年から3年間、ゲオルグソンは2020年の半年間、ブレントフォードでコーチを務めていた。当然、16/17シーズンの途中からコーチを務め、18/19シーズン途中に監督に昇格したトーマス・フランク監督とも仕事をしている。ちなみにアーセナルのイニャキ・ケイナGKコーチもブレントフォード出身なので、お互いに手の内を知った間柄と言ってよさそうだ。

 全体的に見ればアーセナルが65%もボールを保持し、シュート数でも22対8と上回っていた。アーセナルにとってはオーバメヤンとラカゼットという得点源の不在が大きく、チャンスを作ってもゴールが遠かった。押し込まれたのはパルティとガブリエウの不在という要因もあるが、セットプレーが勝負を決めた。結果的に見れば、ブレントフォードに所属していたジョバーやケイナのやり方を、フランク監督が逆手に取った形となった。

 ユーロや東京五輪のような一発勝負ではなおさらだが、拮抗した試合ではセットプレーが勝敗を分ける大きな要素になる。アーセナルを倒したブレントフォードは、今季のプレミアリーグの台風の目になるかもしれない。

 開幕前にアルテタ監督はさらなる補強の必要性を説いたが、それよりも大事なことがこの試合で分かった。ゲオルグソンというキーパーソンを失ったアーセナルは、新たな戦術家の下でセットプレーを再構築しなければならない。それができなければ、今季も苦戦は必至になるだろう。

(文:加藤健一)

【了】

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