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東京五輪 3年前

東京五輪が選手を限界まで追い詰めた。酷暑、過密日程、そして…2週間の中で聞こえた悲鳴の数々【英国人の視点/東京五輪サッカー】

text by ショーン・キャロル photo by Getty Images

「スケジュール以上に一番大変」だったのは?



 8月5日に鹿島で行われたオーストラリア戦で2得点を挙げ、アメリカ女子代表に銅メダルをもたらしたミーガン・ラピノーも同じだった。

「本当に大変だった。どのチームも同じだと思うけど。ワールドカップならもっと試合間隔が空いているし、家族に会うこともできる。今回はずっとチームのみんなと顔を突き合わせていることしかできなかった。ずっとサッカーの話ばかりをしていたくはないけど、他に何もなかった」

「そこが本当に厳しかったと思う。誰もが大変だったけど、特に気が休まらないことがスケジュール以上に一番大変だったという感じがある」

 同じ横浜で24時間前に行われていたスウェーデンとカナダの女子決勝に続いて、ブラジルとスペインも90分間で勝負をつけることはできず、最後はマルコムの爆発的な突破がセレソンに2-1の勝利と2大会連続金メダルをもたらすのを待たなければならなかった。延長開始時に投入されるまで今大会142分間しかプレーしていなかったマルコムはピッチ上で最もフレッシュな選手の一人だった。

 スポーツとは国境を越えて優れた力を競い合うものだ。今回の五輪による疲労感も時間とともに薄れゆき、あとは巧みに編集されたハイライト集や数多くの歴史的偉業などポジティブな思い出ばかりが残されていくことだろう。それでも東京2020が、競技場の内外両方で、全ての参加者の精神と肉体を限界まで追い詰めるような大会であったことに異論の余地は全くない。

(文:ショーン・キャロル)

【了】

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