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東京五輪 3年前

東京五輪が選手を限界まで追い詰めた。酷暑、過密日程、そして…2週間の中で聞こえた悲鳴の数々【英国人の視点/東京五輪サッカー】

text by ショーン・キャロル photo by Getty Images

あの遠藤航ですら…



 グループリーグでのメキシコ戦では日本がスタートダッシュに成功してわずか11分間で2点のリードを奪ったが、3位決定戦はほとんどパスを繋げることができず、ちょうど11分を迎える頃には遠藤航のらしくない不手際でプレゼントしてしまったPKによりハイメ・ロサノ監督のチームにリードを許した。

 メキシコ戦を通しての遠藤のパフォーマンスは、まさに東京五輪終盤戦のサッカー競技全体の傾向を象徴していた。過去1年間の日本で最も活躍の際立った選手の一人であった彼の足が動かず、試合をコントロールするどころか流れについていくことすら満足にできなかった。22分に決められた2失点目にも関与し、FKの場面でホアン・バスケスのマークを外して至近距離からのシュートを難なく決められてしまった。

 もちろん、遠藤だけをことさらに取り上げて批判するつもりは全くない。同様の倦怠感はその4日前、女子サッカーの準決勝で激突したオーストラリア女子代表とスウェーデン女子代表からも見て取れた。今大会でも特に運動量の多い2チームの激突ではあったが、後半になるとほとんど歩くようなペースにまでスローダウンしてしまう場面もあった。高温多湿な日本の夏に2週間奮闘してきた影響が選手たちに表れ始めていた。

「大会も終盤に入ってきて、みんな疲れている。みんな長い時間プレーしてきたし、今日は暑かった。ここに来てからプレーした試合の中で一番暑かったかもしれない。でもそれはみんな同じ。みんな疲れているし、スウェーデンも同じだった。彼女たちも同じ時間戦ってきた」。オーストラリア女子代表のFWサム・カーは試合後にそう話していた。

 対戦相手のハンナ・グラスも全くの同意見だった。「湿気と、大変なスケジュールのせいで、特に最後の20分から30分間は本当に苦しかった。2日しか休みがないという日程は、ワールドカップやユーロでも経験したことがない」。バイエルン・ミュンヘン所属のDFはそう語った。

 過密日程は毎回の五輪に共通することではあるが、東京2020ではコロナウイルス予防のための様々な対策も取られたことが選手たち(および海外メディアやスタッフ)のメンタル面にこれまで以上の制約を加えていた。試合と試合の間に息抜きをする時間も場所も得ることができなかった。

「大変だったのは、もちろんその通り。暑さも含めてすごく難しい大会になることはここに来る前から分かっていたし、準備をしてきたつもりだけど、それでもやっぱり大変だった」とグラスはその制約について話していた。

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