監督にとっても至難の業だが…
攻撃陣は状況がより深刻だった。グループリーグ3戦連発の久保と2戦目のメキシコ戦でゴールを奪った堂安にフィニッシュの仕事が偏り、彼らを外せなくなったのだ。林や相馬勇紀もいい仕事はしていたが、ゴールという結果は遠かった。
本来であれば、キーマンになるはずの上田綺世と三笘薫がケガで出遅れ、ベストパフォーマンスを発揮できない状態が長く続いたのも痛かった。「絶対的点取り屋」がいないのは日本サッカー界の長年の課題だが、それを含めても、今回は久保・堂安以外の確固たる得点源が乏しかった。
A代表に目を向けても、大迫勇也、南野拓実、鎌田大地への偏重の傾向が強いだけに、今回の教訓を生かして多様な陣容で戦えるようにしていかなければいけない。代表活動期間が限られる中、善後策を見出すのは森保監督にとっても至難の業だろうが、自国開催でメダルを逃した悔しさを晴らせるのはワールドカップしかない。
「サッカーやってきてこんなに悔しいことはない。ちょっときついです」と号泣した久保を筆頭に、選手たちもここで立ち止まっているわけにはいかない。突き付けられた厳しい現実をどう受け止め、先へと進んでいくのか…。日本サッカー界全体がこれまで以上の危機感を持って取り組む必要があることだけは確かだ。
(文:元川悦子)
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