「メキシコはまだ死んでいない」
宿敵・U-24メキシコ代表とはご存じ通り、7月25日のグループリーグ第2戦で戦い、2-1で勝利している。久保と堂安律の揃い踏みで開始11分に決着をつけてしまうという理想的な展開だった。けれども、相手もそうやすやすと同じ戦いをさせてはくれない。手の内を知る相手という意味では、ロンドンの韓国戦と酷似している。吉田のあらゆる経験値が生かされるのだ。
加えて言うと、メキシコはワールドカップ8強入りを目指す日本にとって絶対に叩かなければいけない相手。東京五輪で勝利して自信を手にできれば、1年半後に迫った大舞台での大目標達成の布石にもなるということだ。今月28日に33歳になる吉田は、おそらくカタールが最後のワールドカップになる。となれば、ここでハードルを越えないわけにはいかない。次は代表キャリアの集大成になる大一番と言っても過言ではない。
「メキシコはまだ死んでいない。予選突破して勝ち上ったらまた当たる可能性があるんじゃないかなと思っています」と本人も予言していた通りの展開になった。だからこそ、最高の戦い、最高の勝利で終えることが肝要。今こそキャプテン・吉田の真価が問われるところだ。まずは出場停止が明ける冨安健洋を含めた最終ラインの意思統一を図り、絶対に崩れない守備組織を再構築すること。そこから始めてもらいたい。
(文:元川悦子)
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