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日本代表 3年前

U-24日本代表に「感動」。それでも…スペインとの埋められない差とは? 個で見劣りはしないが…【西部の目/東京五輪男子サッカー】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司

個の部分で見劣りはしないが…

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【写真:Getty Images】



 前田の投入は延長からになった。久保と堂安律の2枚看板に代えて、前田と三好康児を送り出す。フレッシュな2人は前線からの守備で強度を高める。三好はCBとアンカーの間で2人を切り離す巧妙なポジショニングを見せ、前田は持ち前の速さを発揮していた。

 体力勝負に持ち込んでスペインを苦しめ、102分には中山のクロスから前田が際どいヘディングシュートを放つ。久保、堂安のテクニックとアイデアはなくなったが、相馬がサイドで再三仕掛けていく。

 111分にはFKから波状攻撃になったが分厚い守備に跳ね返される。スペインは疲労の色も濃く、U-24日本代表はあと一歩まで迫っていた。しかし、ここでスペインがドリブルでこじ開けにかかった。オヤルサバルのドリブルでの侵入を際どく防いだ後、再度オヤルサバルのドリブルからアセンシオにつないで決勝点となった。

 右から左足でファーサイドを狙うシュートはアセンシオの十八番。ここで決められる一発を持っている選手の有無が勝敗を分けた。今回のスペインにスーパーな選手はいないので、その差で負けたわけではないが、スーパーなシュート技術が試合を決めた。

 久保、堂安の個人技や前田、相馬のスピードなど、個の部分での見劣りはしない。チームとしてもスペインに迫る力があった。しかし、持っている能力を効果的に使うという点ではスペインが上手であり、見た目の差はわずかかもしれないが、プレーのロジックがあるかないかという点での差はかなり大きいともいえる。その中で、最後までやるべきことをやって食い下がったU-24日本代表の健闘を称えたい。

 1968年、メキシコ五輪準決勝に臨む日本選手たちに、「日本サッカーの父」と呼ばれたデットマール・クラマーは「金の色はいい色だ」と言って鼓舞したという。日本代表は準決勝に敗れたが、3位決定戦で開催国メキシコに勝利して銅メダルを獲得した。エースの釜本邦茂は「銅の色もいい色だな」と思ったそうだ。

(文:西部謙司)

【了】

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