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日本代表 3年前

徳島ヴォルティスのスペイン人コーチがU-24日本代表戦を展望。バルセロナ時代の教え子が多数出場、勝ってほしいのは…【コラム/東京五輪男子サッカー】

シリーズ:コラム text by 舩木渉 photo by Getty Images

 東京五輪の準決勝が3日に行われる。U-24日本代表がメダル獲得をかけてU-24スペイン代表と対戦する大注目の一戦だ。徳島ヴォルティスのコーチを務めるマルセル氏は、2008年から2020年まで長きにわたってバルセロナのカンテラ(育成組織)で指導に携わり、両国代表に複数の教え子を送り出している。そこで本稿では日本とスペイン、両国の勝ち上がりを見守ってきたマルセル氏の目線で東京五輪準決勝の大一番を展望してもらった。(取材・構成:舩木渉/取材協力:徳島ヴォルティス)

大一番に教え子がたくさん

久保建英
【写真:Getty Images】



 東京五輪の準決勝は、1人のサッカーファンとして、すごく特別な試合になると思っています。スペインにとっても重要な試合ですし、いま私が日本の徳島という土地で仕事をさせていただいている中、日本という素晴らしい国とスペインが戦うことができる。特別な一戦になるでしょう。

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 私の教え子たちが何人か出場するかもしれません。スペインのエリック・ガルシアやオスカル・ミンゲサ、マルク・ククレージャ、フアン・ミランダ、そしてハビ・プアド。日本の久保建英。彼らがサッカー選手として育ち、ステップアップしていく過程に、バルセロナというクラブで関われたのは大変光栄なことです。

 彼らも五輪のような国際舞台でプレーすることを目標にしながらずっと練習してきたと思うので、目標を叶えられた彼らの成長ぶりには満足しています。

 さて、試合に話を移しましょう。U-24日本代表は質の高い選手が多くいるチームですし、その質をこれまでの試合の中で証明していると思います。多くの選手が欧州でプレーしていますし、所属クラブで主力として試合に出ている選手もいて、素晴らしいチームになっています。

 その中でも久保建英と堂安律、この2人が試合を決定づける活躍のできる選手です。彼らのような選手がいるのも、ここまでの勝ち上がりにつながっていると思います。また、今回の東京五輪に関しては日本のホームで開催されているのも手助けしてくれていて、プレーのインテンシティはすごく高いですし、集中力もあり、見ている限りではデュエルの勝率も非常に高いので、本当に素晴らしいチームという印象を持っています。

予想される試合展開は?



 メダル獲得がかかった試合であり、両チームにとって簡単な試合ではないでしょう。スペインの方がゲームを支配する力が少し高いのではないかという印象を持っているので、スペインがゲームを支配する試合展開になるかと思います。

 ただ、日本にもしっかりポゼッションする力があるので、日本もボールを持ちたいと考えるはずです。そのためにしっかりと(前線から)ボールを奪いにきて、そして日本もポゼッションをしようとする展開になると思っています。なので、スペインとすれば、しっかりとボールを動かしながらゲームを支配して、日本にボールを持たせない、そして(守備に)走らせるということを徹底していくのがいいのではないでしょうか。

 一方、今大会のU-24スペイン代表はフィニッシュの局面、ゴールを奪うのに苦労してきました。スペインはここ数試合、ゲームを支配してはいるのですが、フィニッシュまでいけていないシーンが多くあります。

 その要因には、サイドにボールがいって、そこでプレーが終わっているシーンが見られることが挙げられます。もう少し中央からの攻撃を増やして、中央からサイド、サイドから中央と攻撃のバリエーションを増やし、相互作用の起きる場面を増やしていければ、ゴール数は増えるのではないかと思います。

勝ってほしいのは…

U-24日本代表 U-24スペイン代表
【写真:Getty Images】



 日本にとって重要なポイントはカウンター攻撃です。実際、U-24日本代表のメンバーにはスピードのある選手がいますし、カウンターができるだけの質を持っている選手がいるのもわかっているので、スペインがボールを握る展開が予想できるなかで、非常に面白い試合になるのではないかと思います。

 本当にどちらが勝つか、どういったスコアになるかを予想するのが本当に難しい、2チームともに勝つ可能性のある試合になるでしょう。スペインはこれまでゴールがなかなか奪えなかったですが、準々決勝のU-24コートジボワール代表戦では後半終盤の少ない時間の中で同点ゴールを決めることができ、かつ延長戦に入って追加点をしっかり決められることも示せたので、すごくいい流れできていると思います。

 自分の気持ちとしてはスペインに勝ってほしいのですが、同時に日本に勝ってほしいという気持ちもあります。

 日本に来たばかりの頃、私は日本サッカーのレベルについてよく質問を受けました。日本が東京五輪の準決勝でスペインに勝つことによって、自分たちが持っている力を証明する場にもなると思います。日本サッカーの力を証明するために、しっかりと勝ちきってほしいという気持ちもあります。思い入れの深い国同士の対戦がどんなものになるか、本当に楽しみです。

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語り手:マルセル(マルセル・サンス・ナバーロ)

マルセル
【写真:Zoomのスクリーンショット】

1982年2月20日生まれ、スペイン・カタルーニャ州サント・アンドレウ・デ・ラヴァネレス出身

指導歴
2008年~2009年 バルセロナU-16 コーチ
2009年~2010年 バルセロナU-15 コーチ
2010年~2011年 バルセロナU-10 監督
2011年~2012年 バルセロナU-12 監督
2012年~2015年 バルセロナU-13 監督
2015年~2020年 バルセロナU-18 コーチ
2020年 パナシナイコスFC コーチ
2021年〜 徳島ヴォルティス コーチ

(取材・構成:舩木渉/取材協力:徳島ヴォルティス)

【了】

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