今後10年のバルサを背負う存在に
現地1月3日に行われたウエスカ戦でも才能が光っていた。圧倒的に支配し、数多のシュートを放ちながらデ・ヨングの1点のみしか奪えない難しい展開の試合で、ペドリは「96回」のボールタッチを記録した。
4-3-3の左インサイドハーフを基本ポジションとしながら、幅広く動き回り、自陣ゴール前に引きこもる相手の守備網を崩そうと試みた。極めて狭いスペースのなかでパス成功率は「83.6%」と高い数字を残した。そして、シュートにつながったキーパスの数はチーム最多の「4本」である。
敵陣ペナルティエリアの左手前で違いを生み出すといえば、思い浮かべるのはやはりイニエスタの姿だ。小柄で細身な容姿からも、ペドリに稀代の名手を重ねてしまう。2人とも成功の確信がないかぎりヒールパスを繰り出すことはない。
これまでトップリーグ経験のなかった18歳の青年を重用してきたクーマン監督は、昨年12月29日のエイバル戦を前にした記者会見のなかで「監督として彼にはチャンスとアドバイスを与えてきた。だが、彼はとても謙虚な家族で育った選手で、もっとうまくなるために何をすべきか、さらに自分がすでに高みにいると考えてはいけないことをよく理解している」とペドリを絶賛していた。
おそらく今後も中盤のキーマンとして起用され、バルサになくてはならない存在としてスターへの階段をのぼっていくことになるだろう。10年単位で主軸を任せられるポテンシャルを秘めている。目下の課題はゴール前での落ち着きや決定力だが、得点力の向上は時間と経験が解決してくれる部分でもあるだろう。
イニエスタの後継者として、ペドリは偉大な先駆者の影を飛び出して、超えていけるかもしれない。バルサ加入から半年でカナリア諸島出身の青年が披露してきたパフォーマンスからは、明るい未来しか想像できないのだ。
(文:舩木渉)
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