イニエスタを彷彿とさせるプレースタイル
テクニシャンではあるが、自らの技術を見せびらかすような派手なことはしない。シンプルで効果的なプレーに徹し、確実性の高いプレーで違いを生み出す。華やかさよりも実利に重きを置くスタイルは、ペドリ自身のアイドルでもあったイニエスタに重なる。
言い方を変えれば「目立たない」が、それこそが真骨頂。プレーのほとんどがワンタッチかツータッチで、相手の守備網のなかにできたスペースにすっと顔を出してボールをさばくと、またすぐに動きなおして次のスペースへ。このシンプルな動作を繰り返していくと、いつのまにかディフェンスはボロボロに壊れているのである。ペドリの2手先も3手先も予測しているような連続性ある動きは、まるでボクシングのジャブのようだ。
メッシとの相性も抜群にいい。象徴的だったのは昨年12月22日に3-0で勝利したバジャドリー戦、メッシの3点目の場面だ。フレンキー・デ・ヨングからの縦パスを半身で足もとに受けたペドリは、自分の背後を走り抜ける10番にヒールパスを通した。18歳の若者からパスが出てくると信じて走ったメッシと、そのスピードを殺さない絶妙かつ高難度のラストパスを供給したペドリのイメージがシンクロしたゴールだった。
バジャドリー戦後のインタビューのなかでチームメイトのクレマン・ラングレが「彼ら2人は優れた選手であり、優れた選手というのはお互いを理解し合うものだ。ペドリは頭を使ってプレーしていて、他の選手よりも思考スピードが早いし、メッシとの連係もいい。すべてはペドリの頭がいいからできることだ」と語っていたのが全てだろう。
バルサ加入1年目の18歳は、すでに周囲から実力を認められ、確かな信頼を勝ち取っていることがうかがえる発言でもあった。
ペドリのことを少年時代に指導していた地元テゲステのクラブのコーチ、ルーベン・デルガド氏は『The Athletic』に対してこんなことを語っていた。
「ペドリのプレーというのは、全てが非常にシンプルでありながら、全てが非常に重要なんだ。彼は股抜きをしたり、何度もボールをまたぐようなプレーを望んではいなかった。単純なことと正しいことをするだけ。周りとは違っていた。
例えば彼のサッカーの見方、ゲームへの理解、他の誰にも見つけられないようなスペースの発見、そしてチームメイトたちとの成熟度にも違いがあった。彼のような選手をサッカー界で見つけるのは難しいと思うようなことをするんだよ。そしてペドリはイニエスタを思い出させる」