17歳でバルサの門を叩く
日本サッカー界にはビッグイベント目白押しの年末年始に休みという概念は存在しないが、欧州ではクリスマスから年始にかけて小休止があるのは一般的だ。
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だからほとんど休みなく、毎日のように複数の国でリーグ戦が慌ただしく稼働している今季は異例と言っていいだろう。新型コロナウイルス感染拡大の影響で変化を迫られた欧州サッカー界は、例年にない過密日程で公式戦を消化している。
もちろんその代償として各国の多くのクラブで負傷者が続出しているし、ほぼ強制的にターンオーバーを強いられるような状況で試合そのもののクオリティも下がっている。だが、ベテランたちが悲鳴をあげるような厳しいスケジュールも、エネルギーにあふれた若手選手には楽しくて仕方ないのかもしれない。
バルセロナは昨年12月から今日までの約1ヶ月で8試合をこなしている。フル稼働が当たり前だったリオネル・メッシにすら休みが与えられるなかで、8試合全てでピッチに立った選手もいる。昨年11月25日に18歳になったばかりのペドリは、誕生日直後の12月から現在までリーグ戦7試合とUEFAチャンピオンズリーグ(CL)の1試合、全てに起用された。
すでに世界的名門で自らの立ち位置を確立したとも言えるだろう。最近では4-2-3-1のトップ下か4-3-3のインサイドハーフとして先発の座を守り続けている。
アンドレス・イニエスタの後継者とも目される才能だが、バルサの下部組織ではない。本土から遠く離れたテネリフェ島の小さな街テゲステで生まれ育ったペドリは、隣のグラン・カナリア島に本拠を置くラス・パルマスでプロデビューを飾り、昨夏17歳でバルサに引き抜かれた。
ロナルド・クーマン監督のお気に入りとなった若き至宝のためにバルサが支払った移籍金はたったの500万ユーロ(約6億円)で、出場時間に応じて生じる追加のボーナスも400万ユーロ(約4億8000万円)だという。あれだけの才能をたったの10億円そこそこで獲得できてしまった。現代の感覚で言えば“格安”である。
イニエスタがバルサでトップチームに昇格した直後の2002年11月25日に生を受け、9歳でイニエスタがスペイン代表の南アフリカワールドカップ優勝を決めるゴールをテレビ観戦した少年は、まさしく新世代の旗手となりうるポテンシャルの持ち主だった。