スペインの弱みは…
スペインのような全体で押し込んでくるポゼッション型のチームの弱みは、その後方に広がるスペース。特にコートジボワール戦を振り返ると、U-24スペイン代表のボールロスト時の守備は、U-24メキシコ代表のそれに比べると整備されているとは言い難い。“トップ下の遠藤”を軸に敵の中盤を同数でハメて、酒井が戦列に戻ったディフェンスラインとサイドハーフを含めて固い守備を構築し、カウンターを繰り出すことができれば、かなりの威力を発揮するのではないか。
そして1点、2点とリードを奪うことに成功できれば、[5バック+トリプルボランチ+久保と堂安の2トップ]に布陣変更。5バックのために、ベンチには瀬古歩夢を入れておく。そして遠藤がアンカーに降りて、田中と板倉とトリプルボランチを構築。前線は久保と堂安の2トップで引き続きカウンターを狙う。
もちろん冨安の不在は日本にとって不安要素であり、こんな理想通りにゲームを運べることは稀だが、U-24スペイン代表がポゼッション型のチーム特有の弱点を抱えているのも事実。加えてU-24コートジボワール代表と延長120分間を戦っており、途中出場が続くラファ・ミルはともかく、チームとしてかなり消耗した状態で日本戦に臨んでくることが予想される。
U-24日本代表も同様に準々決勝のニュージーランド戦を延長120分+PK戦までこなしており、一見するとコンディション面の条件は同じだが、違いはユーロ組の存在。特にCBのエリック・ガルシアとパウ・トーレスは相当に疲労が蓄積されているようだが、であればメキシコ戦のようなハイプレスも効果的かもしれない。スペインを率いるデ・ラ・フエンテ監督はユーロ組の起用に拘泥しているが、体力面を考えると、その存在は“諸刃の剣”と言えそうだ。
このようにメンバー的には穴のないU-24スペイン代表だが、チームとしてのスタイルや個々のコンディション面では“弱み”を抱えおり、“無敵艦隊”とは言い切れないところもある。もちろん簡単な相手ではないが、丁寧かつ大胆に戦えば、付け入るスキはあると言えそうだ。
(文:本田千尋)
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