リーダーたちが勝負を決めた
勝利が決まった瞬間、日本の選手たちは一目散に「ヒーロー」となった谷のもとへ駆け寄っていった。カカーチェのPKを完璧に止め、ルイスにも失敗させた守護神は、世界の舞台で4年越しのPK戦勝利となった。
吉田も「晃生は大会を通じて成長していると僕も思いますし、コンディションも上がってきて、パフォーマンスも上がってきているなと。よく2つ止めてくれたなと思います」と谷の貢献を称えた。他の誰もが「今日のヒーローは谷ですから」と口を揃える。
森保監督は「(PKキッカーに手を挙げる選手は)おそらく5人だけではなく、もっとたくさんいたと思いますが、選手たちは自分で勇気を持ってキッカーとして立候補してくれた。その勇気や、この試合を自分が決めて勝ち切るという思いが、PK戦の勝利につながったと思います。選手たちは勇気を持って蹴ってくれたと思います」と総括する。挙手制にしたことで責任感の増した選手たちが、自信を持ってPKに臨んだことで準決勝への道が拓けた。
自然と決まった順番も勝利への道しるべだったのかもしれない。1人目の上田は2017年12月、東京五輪に向けた代表チームの最初の活動となった大会で、PKを蹴って外している。森保監督は「そういうのを振り返っても、『このチームで俺が決めてやる』という想いを持って、先陣を切ってくれたのは素晴らしかった」と語る。
上田の号砲に、板倉、中山と東京五輪世代を中心として長くけん引してきたリーダー格の選手たちが続いた。
「(中山)雄太や(板倉)滉にしても、ずっとこのチームを自分たちがチームを支えてきて、今につながっている。そして、もう2試合につなげていくところで、より強い想いを持って彼らが決めて準決勝へ駒を進めてくれたのは、これまでの選手たちの活動を振り返ってもすごく嬉しいことです」(森保監督)
東京五輪世代のキャプテンから、2012年ロンドン五輪代表とA代表のキャプテン、そして2016年リオデジャネイロ五輪のキャプテンへ。最後の遠藤まで回らなかったが、3世代のキャプテンリレーも頼もしかった。
「オーバーエイジとしてチームに加わってくれて、チームをまとめてくれた麻也が最後に決めてくれると。みんなでつなげてPK戦に勝って次に進めたなと思っています」(森保監督)