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吉田麻也が「マジか〜!」と驚いたのはナゼ? U-24日本代表が決勝Tで直面する「時間」の違いとその影響【東京五輪】

text by 編集部 photo by Getty Images

吉田麻也
【写真:Getty Images】



 U-24日本代表は28日、東京五輪のグループステージ第3節でU-24フランス代表に4-0で快勝。出場国中唯一の3戦全勝で文句なしの決勝トーナメント進出を果たした。

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 日本のキャプテンを務めるDF吉田麻也は「自分たちはまだ何も成し遂げていない」と、グループステージ首位突破にも浮かれていない。「違う競技でもメダルが確実と言われている選手たちが予選敗退したりしているなかで、やっぱりもう1回集中して気を緩めずにやろうという話はしました」と続ける。

 しかし、そんな吉田も「マジか〜!」と驚いてうなだれた瞬間があった。それは「準々決勝のキックオフがこれまでの試合よりも2時間早くなることの影響は考えられるか?」と問われた時だった。

 日本はグループステージ3試合を全て20時キックオフで戦ってきた。太陽が沈んで日中よりも幾分か涼しくなった時間帯にプレーすることができ、気候の恩恵を受けていたのは間違いない。それが「え? 次18時? マジか〜!」という驚きにつながったわけだ。

 吉田はチームの躍動が「何より良いコンディショニングをできて、他のチームより明らかに長い準備期間があった」ことによってもたらされたとも語っていた。

 自国開催のためストレス少なく調整に集中することができ、大会前の合宿も、大会中のリカバリーやトレーニングも慣れ親しんだ環境で行ってきた。こうしたホームアドバンテージが選手たちの良好なコンディションにつながり、中2日での3連戦の影響も最小限で済んでいたとも言えるだろう。

 だが、準々決勝のU-24ニュージーランド代表戦は31日の18時キックオフ予定となっている。まだ日没前で、20時キックオフよりも暑さが残った状態で試合をしなければならない。吉田も「これまでの3試合、20時台にできたのはだいぶ大きかったなと思いますね」と夏場の遅い時間帯のキックオフの好影響を感じている。

 では、実際に18時と20時ではどれほど気温に違いがあるのだろうか。

 気象庁の公開している過去の気象データによると、準々決勝の開催地・カシマスタジアムのある鹿嶋市の28日18時の気温は26.1度、20時の気温は25.5度だった。試合のある時間帯だけで見るとあまり差はないが、この日の最高気温は29.5度だったので、日中に比べて夜はだいぶ過ごしやすい気候だったことがわかる。

 吉田は「特に1試合目はかなり暑かったみたい」と語っていたが、初戦のU-24南アフリカ代表戦が開催された22日の調布市付近の気温を先述のデータベースで調べると、18時には28.6度、キックオフの20時は26.4度となっていた。日中の最高気温が32.8度だったので、「20時台にできたのはだいぶ大きかった」という言葉はまさしくその通りと言えよう。

 グループステージ第2戦のU-24メキシコ戦が行われた25日のさいたま市は日中の最高気温が32.8度、18時でも31.2度あり、キックオフの20時に29.1度となってようやく30度を下回った。会場で取材していても、メキシコ戦の日が最も蒸し暑くて厳しいと感じていた。

 そして2連勝で迎えた第3戦、U-24フランス代表戦が行われた横浜市も28日の日中の最高気温が31.5度、20時の試合開始時に27.7度まで下がっていたので、スタジアム内はそれほど暑くなかった。

 準々決勝のニュージーランド戦までは中2日。選手たちは回復に努めることになる。18時キックオフの影響がどれほど大きいかは未知数だが、これまでとは違った感覚での戦いを強いられるのは間違いない。31日の試合当日の鹿嶋市の天気予報は晴れ、日中の予想最高気温は29度、試合開始前後の気温の予想は26度となっている。

 吉田は「(気候の条件は)相手も同じなので。絶対にうちの方がコンディションはいいはず。頑張りましょう!」と明るく元気に取材エリアを後にした。第2戦と第3戦は「点差が開いたので、若干省エネした感はあります」とも語っていた。

「僕自身はここからが自分の仕事だと思っているので、もう1回気を引き締めてやりたい。累積だったり怪我だったり、連戦でコンディションが整わなかったり、いろいろな選手の力が必要になると思うので、ここから総力戦だなと思います」

 ディフェンスラインの主力では唯一イエローカードを1枚ももらっておらず、最も出場停止リスクの低い選手でもある。決勝トーナメントでもキャプテンとして、そしてディフェンスリーダーとして、“省エネ”でエネルギーを蓄えた吉田の大奮闘に期待したい。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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