貪欲さでゴールをこじ開けた上田綺世
そんな背番号18の最初の見せ場となったのが、前半27分の先制点のシーン。田中碧の縦パスを受けた久保が、自らと入れ替わった上田に配球。次の瞬間、彼は迷わずペナルティエリア右に侵入し、強烈な右足シュートを放つ。これは相手守護神・ポール・ベルナルドニのセーブに遭ったが、久保が鋭く飛び出してきて左足で押し込み、待望の1点をゲットしたのだ。
「いい感じの縦パスが田中選手から来て、自分の上田選手へのパスは少し短くなってしまったけど、こぼれ球をうまく決められた」と3戦連続ゴールの背番号7は効果的な流れを振り返っていたが、上田にはパスが短かろうが長かろうが関係なかった。一目散にゴールに突き進む姿勢を五輪の大舞台で表現することが全てだったのだろう。もちろん本人的には決め切りたかったはずだが、得点に直結する仕事ができたのは悪くない。3戦目にしてやっと「自分は大会に参加している」という実感を抱けたのではないか。
7分後の2点目も上田の貪欲さがこじ開けたゴールと言っていい。旗手怜央がいったんタメて落としたボールを久保が縦に出し、プルアウェイの動きで抜け出したのが背番号18だった。彼は体を反転させながら左足を一閃。これもまたGKベルナルドニに防がれたが、右から詰めていた酒井宏樹が難なく押し込み、2-0とリードを広げる。
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