フランスを苦しめたのは強烈な…
1つは、メキシコの強度の高いプレッシングだ。このフランス戦では、特にボールを失った時の攻→守の切り替えが速く、敵陣で即座にボールを奪い返すことに何度も成功していた。
17分の場面が典型的だったが、CBモディボ・サニャンのパスを10番のディエゴ・ライネスが高い位置でカットしてショートカウンターを仕掛けるなど、ロスト時の強気の守備は前半から目立っていた。
55分の2点目は、まさにこのショートカウンターの形から生まれたもので、ウリエル・アントゥナがカットインから決めた80分の3点目も、オチョアのロングキックのセカンドボールをボックスの手前で拾ったことから生まれている。
47分の先制点は敵陣ではなく、自陣からのロングカウンターで誕生しているが、“素早い切り替えの徹底”という点では、2点目、3点目と似たような形と言えるだろう。このようにメキシコの迅速な攻→守→攻の切り替えは、“強烈なスパイス”となってフランスに効いていた。
内実はともかく曲がりなりにも列強国のフランスを4-1で下したことは、メキシコにとって自信になったはず。そう考えると“北中米の雄”が、日本代表相手にU-24南アフリカ代表のように5バックで引いてくるとは想定しづらい。このフランス戦と同様、積極的に独特のリズムで攻撃を仕掛け、またはロングボールを入れて、ボールを失ったとしても即座に攻→守と切り替えてショートカウンターを狙ってくる可能性は高い。
日本代表からすると、このような敵の即時奪回には十分に気を付けたいところだ。逆に言えば、ボランチの遠藤航を軸に、メキシコのカウンタープレスをいなし続ければ、自ずと敵に主導権を渡さず、自分たちがリズムを掴めるはずである。
また、その他に気を付けるべきポイントを上げるとすれば、敵の個人技だ。