【写真:Getty Images】
キリンチャレンジカップ2021が17日に行われ、U-24日本代表はU-24スペイン代表と対戦して1-1で引き分けた。
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先制したのは日本だった。42分、左サイドを個人技で突破したMF久保建英が折り返すと、MF堂安律は左足を豪快に振り抜く。しっかりとコースも狙ったシュートはゴール左隅に突き刺さった。
「(ゴールまで)行けそうなときは入り切るというのは意識していた中で、(久保)建英からああいう(いい)ボールが来た。前半シュートを1本も打てなかったので、1本思い切って、コースを狙いました。ドリブルでシュートというよりも、1本思い切って打ってみようという結果が、いいところにいったと思うし、ああいうマイナス(方向へのパス)からのシュートというのは練習していたので、結果になって良かったと思います」
東京五輪に向けて「10番」を託された堂安は、ここ最近のU-24日本代表の4試合連続でゴールネットを揺らしている。12日のホンジュラス戦では2得点を挙げており、4戦5発とすっかりエースの風格が漂い始めた。
しかし、当の本人は「理想の10番像にはまだまだ程遠い」と気を引き締める。
「僕に緊張感を与えてくれる番号だし、そういう番号が僕の成長の手助けしてくれたらいいなと思っているので、まずはピッチの上で結果を出すことが影響しているのはありがたいと思いますけど、僕の10番像というのはもっともっと良い『10番像』なので、もっとチームに貢献しないといけないし、今日の前半なんかはまだまだ課題だらけだったので、ある意味帳消しというか、ゴール取れて帳消しかなと思います」
前半は「ボールを持たれる時間帯が多くなるかもしれないとチーム内でも話していたし、決定機らしい決定機を相手に作らせなかったのは、僕たちのポジティブな材料」だったが、堂安個人としてはシュートチャンスを作れていなかったことが「課題」だった。
めぐってきたワンチャンスをものにしたが、「この4試合(ゴールが)出ているのは自信をもたらしてくれますけど、ただ出来はよくなかった。それは自分自身理解しているし、そこ(プレー内容)を追求しながら得点も、最後に顔を出すというのは僕の理想の10番像なので、まだまだ程遠いと思うし、期間中に少しでもその10番像に近づきたい」と堂安は厳しい口調で語った。
「今日のスペインは誰が見ても分かるように格上。ピッチ内でも力の差を感じたので、その格上相手に勝ち点3を取っていくのか、僕たちの戦い方を共通認識できながらプレーできたと思います。ただ、まだまだ力の差を感じたのが選手の本音だし、もっともっとうまくならないといけない、大会中でもうまくならないと優勝できないと思うので、開幕戦から(決勝まで)6試合ありますけど、毎試合うまくなるようなチームにしたいと思います」
では、その「力の差」とは何か。日本の背番号10は独特の言葉でそれを表現していた。
「彼らはサッカーをよく知っている。ワンタッチのプレーをしていたけど、味方がどこにいるか見てないのに、そこにいるというのを、サッカーがわかっていると思っていて。見ていなくてもワンタッチで出せば味方がいるだろうとか、敵が来ないだろうとか。そういうのはサッカーのうまさ、賢さを感じました。ディフェンスがよくても奪えなかったので、僕たちのミスというよりも、彼らのサッカーの知識の多さでやられるシーンが多かった。日本はそういうのをまだしないといけないと思うし、そこに対して(力の差を)すごく感じました」
堂安は「金メダルを取って、日本の皆さんに今日も頑張ろうと思ってもらえるような結果を残したい」と東京五輪に向けた意気込みも口にした。日本の「10番」が大会中にさらに成長し、常にチームを勝たせる選手になっていくことを期待したい。
(取材・文:舩木渉)
【了】